吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

複合汚染 --有吉佐和子

20年以上前のことですが、有吉佐和子の「開幕ベルは華やかに」を読み、
とても面白かったのですかさず読んだのがこの本です。
「開幕ベルは華やかに」とはまるっきりタイプの違う小説ですが、
読み進めていくうちに何ともいえない危機感がこみ上げてきて
あっという間に読み終えた記憶があります。

これは小説というよりはノンフィクションといえるでしょう。
誰にでも理解しやすくするために小説という形態をとっただけのこと。
著者の危機感が新聞の連載小説として発表することで広がることを意図してのことだろう。
プロの文筆家が10年かけて300冊以上の本を読んだ上で書き上げたらしい。恐れ入った。


・・・・当時映像の勉強をしていた。
この本を読んだ影響だったのか、自分の企画が通って卒業制作で環境に関する映像作品をつくった。
夏休みに一ヶ月間海の家でアルバイトをしていた間、海周辺の写真を撮り続けて仕上げたのだが、
きれいな海といわれていたその場所も確実に汚れ始めていた。

連載が1974年から1975年までだから30年以上前に発表されている。
それなのに未だに何も解決していないどころか悪くなっている気がする。
これを読んで衝撃を受けたのに、映像まで制作したのに、それ以降特に何もしていない。
勿論小さなことをコツコツと積み重ねてはいるが、果たしてどれほどの効果があるのやら。

有吉佐和子が読んだ300冊の中にレイチェル・カーソンの「沈黙の春」がある。
今の環境問題の教科書ともいえる「沈黙の春」に関しては、後日改めて書きたいと思います。
これらの本は今読んでも決して色褪せていないし、むしろ今こそ読む必要があるのではないでしょうか。

とりあえずブログで環境を取り上げることも大事な「何か」なのだと信じよう。


硬派っぽく書いてみたが、海の家での一ヶ月のアルバイト生活の9割程度が
軟派な、とっても夏っぽく、とっても楽しい生活だったことは、間違いない。