吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

サウンドトラック(上下) --古川日出男

「BOOK」データベースより引用
東京は異常な街に変貌していた。ヒートアイランド現象によって熱帯と化し、スコールが降りそそぐ。外国人が急増し、彼らに対する排斥運動も激化していた。そんな街に戻ってきた青年トウタと中学生ヒツジコ。ふたりは幼いころ海難事故に遭い、漂着した無人島の過酷な環境を生き延びてきたのだった。激変した東京で、ふたりが出会ったものとは―。疾走する言葉で紡がれる、新世代の青春小説。


いつものことながら賛否両論ありそうな作品です。
古川日出男の独特な文体が炸裂しているとでもいうのでしょうか。

 

読んでいて浮かぶのがまず村上龍の影響がいっぱいあるんだろうな、ということです。
コインロッカー・ベイビーズ」、「五分後の世界」、「愛と幻想のファシズム」等のエッセンスが感じられます。
カリスマと支配、地上と地下、純血と混血・・・
それ以外にもコインロッカー・ベイビーズで言うところの「破壊と構築(再生)」の「破壊」部分がかなりシンクロしています。
本書では再生へ向かうところまでは描かれていませんが・・・
更に更に言えば古川作品の「ベルカ、吠えないのか?」「アラビアの夜の種族」のテイストが混じります。
よって最終的には完全に古川ワールドって感じでしょうか。
もひとつついでに言うとヒートアイランド化による東京の混沌は、池永さんの「シャングリ・ラ」も浮かびます。
古川さんは好きな作家ですが、それでも非常に読みにくいなあというところと、
リズム感タップリでガンガン読み進めることが出来るところと
パートによって読み易さの差が激しい(個人的な問題も多分にあるのですが・・・)
西荻窪や神楽坂に土地勘が有る人は意外と楽しめるかもしれません。
読後に西荻窪と神楽坂を通ったのですが、ちょっと違う見方ができて楽しめました。例えば神楽坂近辺を地下鉄で通るとトンネル内で「レニの映像」が見えるかもなんて、ちょっと妄想してしまいました(笑)
荒唐無稽な話しではあるのだが、ヒートアイランドに関してはリアルな部分も結構あると思います。
自分の中にある「このままじゃ、やばいよ」っていう漠然とした不安感とシンクロするのだ。
まじめにヤバイと思うよ・・・

 

ところでヒツジコの武器となるダンスを実際どんなものか見てみたい。
最近女子高生を見かけるたびに踊りだすのではないかと妄想してしまう。
(へ、変な妄想じゃないっすよ!・・・汗)
まあ、映像化したらきっと陳腐になるんでしょうねえ。


上巻巻末には「サウンドトラック動物図鑑」というコラムがついてます。
この作品に出てくる動物たちなのですが、それぞれがこの作品世界を語っています(笑)

 

どんな動物たちが出ているか。。。。出席をとりま~す!
 
ブウ、
ミャウオ、
カー、
ワン、
チュー、
ピシ・・・ピシ・・・・・・終末だ!