吉祥読本

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コインロッカーベイビーズ --村上龍

正直なところ村上龍の作品は、ほとんど読んでいると思うが、期待はずれのもののほうが多い。

限りなく透明に近いブルー」はドラッグで見る妄想みたいなものだし、グロい。
吐き気がする本は初めてだった。

「海の向こうで戦争が始まる」は抽象的なイメージが多くて、幻想的な印象だった。

ところが、3作目の「コインロッカーベイビーズ」は完全にはまった。

文章が段落なしに洪水のようにあふれ続け、それがかつて無いスピード感を醸し出す。
主人公たちの気持ちと完全にシンクロした感覚になった。
前作までのようにグロさはあるけど、途中で止められなくて一気に読み終えた。

大げさな話しになってしまうけど、就職や、転職、独立、その他行き詰ったとき、
自分を鼓舞するとき、村上龍の本を読むことが多かった。
とりあえず戦闘モードになれるように。

これ以降、村上龍に、本作を越える作品があったとは思えない。

でも「コインロッカーベイビーズ」だけで十分元は取れているからいいのかもしれない。

万人に薦められないけど、エネルギーに満ちた衝撃的な作品であることだけは間違いない。