まあしかし、色々なタイプの殺し屋がてんこ盛りだ。
伊坂幸太郎作品に犯罪者は割りとでてきますが、
黒澤とか、陽気なギャングたちとかは好感がもてるキャラでした。
本作には結構ひどい犯罪グループが出てきたりするので、
ハード路線にハンドルを切ったのかと思ったのですが、
結局のところ伊坂幸太郎らしい作品に収まったと言う印象です。
キャラクターは相変わらず魅力的な人物が多くて、
キャラ設定の仕方は相変わらず素晴らしいと思います。
自分が追い込んだ人間の亡霊に悩まされる「鯨」、
上司?との掛け合いの面白いナイフの使い手「蝉」、
殺された奥さんの復讐のために犯罪組織に入る「鈴木」、
押し屋?と呼ばれる謎の男「槿」(むくげではなく、あさがおと呼んでいる)等々・・・
特に「鯨」みたいな能力?をもったヤツは怖いんだけど、愛読書が「罪と罰」って・・・
一番印象的な人物だったかな。
その他、何人かは他の作品の登場人物と印象がかぶったりもしている気がする。
それまでの作品に比べると入り組んだストーリー性が少し後退しているように思うのですが、
”結構頑張ってる”「鈴木」が、伊坂幸太郎らしさを表現する役回りとしてうまく機能しているため、
伊坂幸太郎という分野にキッチリ収めることが出来たのではないでしょうか。
こんな作品もありだなって感じでした。