吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

ゴールデンスランバー --伊坂幸太郎

そんなに数はアップしてませんが、今月の読書感想は全て本作の内容をキーワードにしたものでした。
本当は今年最初にゴールデンスランバーをもって来たかったのですが、
間に合わなかったのでこんなふうにしました。


出てくるキャラクターは淡々としているけど、相変わらずいい味出してる人々が多い。
メインキャラクターもサブキャラクターもいつものとおり、ほぼ文句なし。


それから、相変わらず何気ない言葉に意味を持たせてしまうテクニックは秀逸です。

●「人間の最大の武器は、習慣と信頼だ」
習慣と信頼は本作を通して重要なキーワードとなっています。ラストを含めて。

●「だと思った」
これだけでグッと来てしまいました。

そして
●「痴漢は死ね」
何じゃそれ? って感じですが、これがいいんです。

本当にこの作家はうまいなあ。


後半の展開は、ビートルズアビイ・ロードさながら「信頼」のメドレーとでも言うのでしょうか。
読み終わったらCDを聴いてみたくなりました。結局聴いたんですけどね。
アビイ・ロードがどのような状況で制作されたのか、を知ると感慨深さもひとしおです。
個人的にはビートルズで一番好きな曲がカム・トゥゲザーなのでおいしいアルバムなんですよ。

それから「砂漠」を事前に読んでおくと伊坂幸太郎の「黄金のまどろみ」への思い入れ度というか
理解度もアップするのではないかと。
当然、読者のまどろみ度も大きくなるでしょう。
これまでの集大成ということですから、事前に全ての作品を読んでおくと
色んな楽しみ方ができるのは確かですが、
勿論この作品が最初でも十分楽しめると思います。


ところで気になること・・・

・何で最後まで登場人物がフルネーム?
・たまに会話の文字数合わせを楽しんでない?

これらはどうでもいいことかもしれないが、あとひとつ最大の謎が・・・

まあ、いいか。再読してまた考えます。謎は謎のままでいいこともあるし。


読後に第三部を再読すると見えてくるものがありました。
結構この第三部のことは、第四部に入ると忘れてたりするので。
私はキレイに忘れてました(私の記憶力の問題とも言うか・・・)


ストーリーの重層度は低いほうかもしれないし、先が読める部分もあるのですが
そこはやはり伊坂幸太郎、きっちり心に響かせてくれる。

どうであれ、とにかく、と・に・か・く、面白かったことだけは確かです。
書きたいことは一杯あるのですが、ネタバラシしてしまいそうなので・・・

「たいへんよくできました」

ってとこでしょうか。




「集大成」を読み終わってしまったので、楽しみは今までの作品の再読でしのぎます。
次はどんな世界を見せてくれるのか、ハードルが高くなっていくけど、楽しみです。
今後も焦らず、じっくりといい作品をお願いしますね、伊坂さん。