「小説の凄さ」を知りたいけれど、一体何から読めばいいのかわからない人を対象に
伊坂幸太郎が好きな短編を集めたアンソロジー。
とのことで読んでみた。
著者と作品は下記の通り。
眉村卓: 「賭けの天才」
井伏鱒二: 「休憩時間」
谷川俊太郎: 「コカコーラ・レッスン」
町田康: 「工夫の減さん」
泡坂妻夫: 「煙の殺意」
佐藤哲也: 『Plan B』より「神々」「侵略」「美女」「仙女」
芥川龍之介: 「杜子春」
一條次郎: 「ヘルメット・オブ・アイアン」
古井由吉: 「先導獣の話」
宮部みゆき: 「サボテンの花」
これらのうち既読は「賭けの天才」「杜子春」「サボテンの花」 の3作。
「ヘルメット・オブ・アイアン」は「杜子春」のパロディ版みたいな作品で
セットで掲載されたとのこと。正解です。
「賭けの天才」と「サボテンの花」は今読んでもよくできた作品で面白い。
学生時代の旧き良き時代の断片を切り出したような「休憩時間」の
空気感は読んでいて気持ちよかった。
内容自体は何てことないんだけど。
「工夫の減さん」はついつい流れで読まされてしまう町田康の手腕が凄い。
つかみどころがあるのかないのか不思議な雰囲気の作品。
雰囲気と言えば「先導獣の話」は読んでいて文体が心地よかった。
状況が目に浮かぶ描写力は本アンソロジーの中では一番かもしれない。
ただ、オチが分からない。なぜ突然先輩が?
実は主人公が先輩にベンチマークされていたとか?
と、こじつけてみたが全く自信が無い。
と書いても読んでない人にはもっとわからないですね。
どの作品も共通して伊坂幸太郎の作品群に通底する雰囲気があるよう。
オーシャンラズベリー篇も少しづつ、他作品の合間に読んでいる最中です。