吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2015年10月の読書リスト

久しぶりにたくさん読めた。電車の移動が多かったうえに、
読み易い本と、長い期間をかけて少しずつ読み進めていた本が含まれているのだけれども。



 2015/10/5読了
 /世界の辺境とハードボイルド室町時代
 高野秀行/清水克行
 辺境ノンフィクションライター・高野氏と日本中世史を専門とする歴史家・清水氏の
 異色対談だが、よくもこんな会話が続けられるなあと、深く広い知識と経験の応酬に
 驚かされる。
 面白いとしか言いようがない対談に脱帽です。



 2015/10/11読了
 /秘島図鑑
 清水浩史
 日本に数多く存在する無人島をピックアップし、写真とともに解説されている。
 無人島になった背景や、無人島である理由など、非常に興味深い内容に
 一気読みでした。
 印象に残ったのは島じゃないけど「孀婦岩」。広大な海にいきなり高さ99メートルの
 岩が現れたら驚くだろうなあ。
 無理なのはわかっているけど、登ってみたいです。

 

 
 2015/10/13読了
 ::陽気なギャングは三つ数えろ
 伊坂幸太郎
 前作から9年も経ったというのに最近読んだかのごとくスッと入り込めた。
 やっぱこのシリーズは面白い!
 あれこれ考えずに身を任せるように読むだけで楽しめます。



 2015/10/14読了
 ::史実を歩く
 吉村昭
 どの章からも吉村昭氏の執筆活動に向き合う真摯な姿が目に浮かぶようである。
 このエッセイを読むことで、既読作品がひと味もふた味も深さが増した気がする。
 「原稿用紙を焼く」に作家としての矜持を感じるが、「「破獄」の史実調査」で
 ラストに書かれていた取材しようとした刑務官の持つ矜持を認めた時の吉村氏の
 涙に、静かに感動。



 2015/10/19読了
 /永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」
 早坂隆
 陸軍の至宝と言われた永田鉄山が殺害されなければ、
 その後の戦争は防げたのではないか?
 と歴史上の「if」を考えたところで答えは無いのだが、歴史の「if」を考えたくなる
 重要人物であることは確かだろう。
 本書では特に目新しいと思える記述や深い考察が足りなかったように思う。
 これを機にかなり前に読んだ「陸軍参謀 エリート教育の功罪」という本を
 引っ張り出してざっと見返したが、そちらの方が体系的に当時の陸軍の状況が
 掴めるので、再読するほうが良かったかも。



 2015/10/24読了
 ::尾崎翠 (ちくま日本文学 4)
 尾崎翠
 「第七官界彷徨」以外は初読み。独特の世界観、独特な表現力に翻弄されながらも
 ユーモラスであり可愛らしくもあり、ちょっと物悲しい作品たちをゆっくり
 長期間かけて堪能した。



 2015/10/26読了
 /鯨分限
 伊東潤
 太地鯨漁を連作で描いた「巨鯨の海」に続き、太地に実在した最後の棟梁、
 覚悟の人生と古式鯨漁の終焉を描いている。
 地震による津波明治維新による社会的背景の激動、海難事故「大背美流れ」などに
 翻弄されながらも最後まで諦めずに太地を守ることに奔走する覚悟の姿が
 気持ち良い。
 ただ「巨鯨の海」を越えることはできなかったかな。



 2015/10/31読了
 /中国グローバル化の深層 「未完の大国」が世界を変える
 デイビッド・シャンボー
 膨大なデータを基に中国を多角的に分析していて、ナルホドと思わせる論考は
 大変勉強になりました。
 中国を過大評価せず、また過小評価することなく冷静かつ長期的な視点で
 見つめていくことが肝要なのでしょう。




8冊読了。