吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

編集者という病い --見城徹

ついに文庫化されました。本を読んでいて作家さんに興味はあっても、編集さんに興味が涌く事は有りませんでしたが、昔々「つかこうへい」とか、「村上龍」とかを読んでいると「見城」という編集者の名前が出てくることがあり、いつの間にか編集者としては唯一刷り込まれた人物だったのですが、独立して幻冬舎を立ち上げた時は本当にビックリしました。そして、ワクワクした記憶が有ります。どんな人か知りたくてずっと待っておりました。


本書を読んで感じることは一言。「熱いなあ」である。
今の時代にはなかなかいないタイプの存在ではないでしょうか。
こんな人が一杯いたら日本も元気になるかもしれません。
でも、多分、鬱陶しいでしょうけど(笑)
色々な雑誌のインタビュー記事をかき集めて載せているため、同じ内容の話しが繰り返し出てきます。
尾崎豊坂本龍一との関係、角川への入社のいきさつ、最初のベストセラーの話などが繰り返されるので辟易もするのですが、その分まるで見城さんの手による檄文でも読んでいるかのようにも感じられます。
多分、この人と仕事を共にするには相当のエネルギーが必要でしょう。
ぶつかり合って喧嘩もしてしまいそうです。
しかし、一緒に何かの目的に向かって仕事をしてみたいとも思わせる魅力があります。


見城さんが担当した作家さん、見出した作家さんは数え切れないくらいいます。
その中で、高橋三千綱中上健次村上龍、つかこうへい、森村誠一銀色夏生五木寛之山際淳司など自分が読んできた作家は全て見城さんが大きく関係していたことにビックリ。
重松清も角川の後輩だったらしく、幻冬舎立ち上げの際には一緒にやらないかと声をかけたらしい(編集者として)。
そういえば重松作品の熱球(多分・・・)では編集の仕事をしている主人公に、先輩が独立する際に声をかける、という展開があったと思います。
もしかしてあの先輩とは見城さんがモデルだったのかな?なんて思いました。

 

まんまと載せられたのかもしれませんが、見城さんの興味があるものにかなりの割合で同じように魅かれ、そして影響を受けてきたこともわかりましたが、自分の読書体験のかなりの割合に見城さんがいたかと思うと、編集者の担う役割も大きいことが窺われます。
とにかくアクの強い人ですが、共感することも一杯ありました。
「これほどの努力を、他人は運という」
ここまで言える人は、なかなかいないと思います。。。
実際会ったとしたら嫌いなタイプかもしれませんし(笑)、とっても好きになるかもしれませんが、バイタリティ溢れる人だと言うことだけはよくわかりました。