この夏、「ナツイチ」の一冊として平積みされてたのを見かけ、読んでないのに気づき購入。
映画「ダイナー」と合わせて一気に売ろうと思ったのでしょう、気持ちはわからないではないが「ナツイチ」の一冊に加えてもよかったんでしょうか。
14の短編は不条理で相変わらずえげつない。他人に起きているなら無関心で済むが、
自分や自分の関係者に起きれば卒倒ものの悪意の競演が描かれる。
全くオチが無いものや救いのない作品たちは読み終わるたびに様々な闇を見せつける。
「仔猫と天然ガス」「伝書猫」「人間失格」が特に印象に残る。
やけにリアルさがあって、ごく普通の日常の隣にはこんなこともあるんだよって囁かれているようで不愉快極まりない。
さすが平山夢明というべきか。
平山作品は悲惨な話でも仄かな愛や少しばかりの希望を感じるものも多いので読み続けているが、この作品集はそれらをほぼ感じることができなかったのが残念。。
その切り出し方に雑味を感じた分、ちょっと評価は低め。
寝る前に読んでいると変な夢を見ることが多かった。
作品とは関係ない夢ばかりだが、何か影響しているような不穏さがあった。
もちろん本書のような状況が身の回りに起きるのは、夢であっても遠慮願いたい。
2019/11/20読了