天才プログラマー、ポール・コールダー・ル・ルーがたった一人で始めたビジネスは
オンライン薬局事業。
法のグレーゾーンを巧みに利用して巨額ビジネスに育て上げたル・ルーは
サイバー空間を利用して次々と手を広げ始める。
そのビジネスは、北朝鮮やコロンビア、ソマリアといった危険な地域を舞台に、
覚せい剤、コカイン、武器の売買という危険なものばかり。
表舞台には出ず、電話や暗号メールで手足として操る人物たちに細かく指示を出し、
裏切り者と判断した場合は容赦なく暗殺部隊を差し向ける。。。
まるで映画のような話だがノンフィクションである。
組織にいた人物や関係者に長期に渡り聞き取り調査をする著者の根気には恐れ入る。
相当数の人物から情報を集め、どれだけの国や地域を移動したことか。
多くの人物が登場するため、この人は誰だったかな?と混乱もしたが
とにかくル・ルーの思考が凡人には理解できない。
危険なビジネスに手を染めなくても、十分ホワイトなビジネス分野でも
成功しただろうにブラックな世界で金儲けすることを楽しんでいるかのよう。
複数のブラックビジネスを誰も信用することなく自分の頭の中だけで構築し、
複雑にリンクさせ、ひたすら金儲けに情熱を傾ける。
多数の女性を利用して自分の子供を多数産ませ、
その子供たちで信頼できるチームを作ろうと本気で考えてたとか、どうかしてる。
また根気よくル・ルーを追い詰める捜査陣も描かれるが
最新の注意を払って証拠を集め、囮捜査を展開する様など緊張感が読み取れるが
結局捕まったル・ルーのその後の展開は予想の上をいく結果となり、
やっぱりどのような思考回路を持っているのだろうか、と疑問ばかり。
スケールが大きいというか、とにかくこんな男がいることに驚くが
なぜこんな事実を知らなかったのだろう?と疑問が湧くも、
あまり表沙汰にならない理由も分かってくると何だかなあ、と嘆息するのであります。