開高健と共にサントリーで仕事をしていた著者の作品を読むのは2冊目。
開高健の作品は数える程度しか読んでいないが、それでも人間的には興味がある。
職場が一緒だっただけではなく、夫人の牧羊子とも親交が深かった著者ならではの
色々な角度から開高をあぶり出すことに成功しているのでは。
作品に自身を投影することが多いようで、それらを読み解きながら
適度な距離感をもって開高の心情や仕事に対する姿勢が語られる。
豪放磊落のように見える開高が実は繊細な一面をも持ち合わせ、
家族との関係や、またある女性との関係にも言及されているが、
関連付けている作品を読んでいないので、理解しにくいところはあった。
今後読む機会があると深い理解ができるのかもしれない。
最後のほうで娘さんと妻、牧羊子の死に関して触れていたが、
開高が苦悩しながら生きていたことは窺い知れる。
また、サントリーにおける仕事ぶりに関しては開高に対する尊敬と、
共に仕事をしていた誇りを感じる。
いい時代だったんだろうな。