吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

評伝 開高健 ―生きた、書いた、ぶつかった!

著者:小玉武
出版社:筑摩書房


開高健と共にサントリーで仕事をしていた著者の作品を読むのは2冊目。

開高健の作品は数える程度しか読んでいないが、それでも人間的には興味がある。

職場が一緒だっただけではなく、夫人の牧羊子とも親交が深かった著者ならではの

色々な角度から開高をあぶり出すことに成功しているのでは。

作品に自身を投影することが多いようで、それらを読み解きながら

適度な距離感をもって開高の心情や仕事に対する姿勢が語られる。


豪放磊落のように見える開高が実は繊細な一面をも持ち合わせ、

家族との関係や、またある女性との関係にも言及されているが、

関連付けている作品を読んでいないので、理解しにくいところはあった。

今後読む機会があると深い理解ができるのかもしれない。

最後のほうで娘さんと妻、牧羊子の死に関して触れていたが、

開高が苦悩しながら生きていたことは窺い知れる。

また、サントリーにおける仕事ぶりに関しては開高に対する尊敬と、

共に仕事をしていた誇りを感じる。

いい時代だったんだろうな。