著者:スタニスワフ・レム
翻訳: 関口時正
出版社:国書刊行会
「砂漠の惑星」の新訳。
消息を絶ったコンドル号を捜索するため、琴座の惑星レギスIIIに
インヴィンシブル号は降り立つ。
調査を進めた結果、コンドル号は見つかったものの乗員たちは
変わり果てた姿で発見された。。。
「ソラリス」同様ファーストコンタクトものだが、
ソラリスの意思を持つ海の茫洋とした掴みにくさとは違い、
情景描写がシンプルなせいもあって内容も掴み易い。
意思のない自立機械の進化形態は実際に遭遇したらと想像すると恐ろしい。
「ラウダの仮説」は1964年の作品とは思えないような説得力で驚かされる。
「三体」のようなド派手なSFに比べ、本作はまるで真逆な正統でド直球なSF。
振り回されるようなジェットコースター的な読書も楽しいが、
主人公と一緒に体験するような味わう読書もいいものだ。
じっくり、わくわくドキドキしながらSFらしいSFを楽しめた。