著者:ジル・ハイナース
翻訳:村井理子
出版社:新潮社
洞窟探検家、写真家など様々な顔を持つ水中探検家としては
先駆的女性ダイバー、ジル・ハイナースのの自伝。
綺麗な海で魚たちと戯れながら大自然を楽しむダイビング、
人間の限界を超える深海に挑むダイビングなどを思い浮かべるが
洞窟専門のダイバーがいるとは。
それも海なら理解できるが、視界がほぼ無い深い沼にある洞窟までも
潜る範疇にあるなど、考えただけで息苦しい。
体がギリギリ通る洞窟だけでも嫌だけど、それが水中の洞窟で
何時間も潜り続けるなんてとても想像できない。
深さだけでも80メートルとか、潜るだけでもとんでもないダイブだ。
そんなダイブに魅せられてしまった女性とその仲間たちのチャレンジは
過酷な南極の氷山の下にまで及ぶわけだが、
決して命知らずというわけではない。
寧ろ普通のダイバーよりも慎重で計画的なのだが、
それでも多くの人たちが死んでいるのが現実だ。
彼らのチャレンジは宇宙のプロジェクトへとリンクしてみたり、
環境問題へと繋がってみたり、一つのことを突き詰めていくことで
様々な分野に広がっていく。
自然は美しさだけでは無く、過酷さを併せ持つことがよくわかるが、
冒険はやはり人任せで楽しませてもらおうと密かに思うのだった。