吉祥読本

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魔術はささやく --宮部みゆき

今更ながら、初めて読む作家さんです。初期作品シリーズ第四弾です。
fairwaywindさんのお奨めで宮部作品を購入したのですが、ようやく読み終わりました。
初期作品シリーズを思いついたのは、この作品の感想を4月中にアップするための自分に対する
プレッシャーからなんです(笑)
実はデビュー作の「我らが隣人の犯罪」も買っておいたのですが、
それを忘れ「魔術~」をデビュー作と思い込んで読み始めてしまったのでした・・・(泣)



「BOOK」データベースより引用
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。
二人めは地下鉄に飛び込んだ。
そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。
さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、
守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。
日本推理サスペンス大賞受賞作。



正直なところ、かなり早い段階で殺人方法の予測がついたので、
これはもっと短い作品にすべきだったんでは?と思いながら読んでました。
結果は思ったとおりオーソドックスな感じのトリックでした。

 

ところが・・・

 

登場人物が多い割りに相関関係がわかりやすいなあというのが読みながらの最初の感想です。
それと人物像の描写がうまいですね。
主人公の「守」の周りにいるキャラクターも魅力的な人がチラホラ。
途中でようやく気付いたんですが(笑)、これは推理小説ではないんだなと感じました。

 

日本推理サスペンス大賞受賞作ってあったのですごいトリックみたいなのが出てくるのかなあなんて、
題名からしてそう思っていたのですが、その観点から読むと肩透かしかもしれませんね。

 

この作品は人間のとっても深い部分を綴ることを目的にしていたのかな?と思いました。
「守」の成長物語という感じでしょうか。
自分が高校生の頃とは比較できないような好青年っぷりがうらやましい(笑)
こんなところで反省させられるとは(泣)

 

宮部みゆきは謎解き重視ではなく、人間ドラマ重視タイプなのでしょうか。
そうであればその方が今後の宮部作品を楽しめそうです。
キャラクターも柔らかそうなタイプが多そうだし、文章も読みやすいですしね。

 

fairwaywindさん曰く、宮部作品最高傑作の「火車」も同時購入しているのですが、
そこに行く前に準備体操的に、全部ではないにしろ順を追って宮部作品を追いかけようかと思っています。
ああ、「我らが隣人の犯罪」で一旦戻るんだった(笑)

 

でも我慢できなくて読んじゃうかもなあ・・・「火車