吉祥読本

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冷蔵庫より愛をこめて --阿刀田高

初期作品を振り返るシリーズ第五弾です。
ブログをはじめて、最初に取り上げた作品が阿刀田高ナポレオン狂でした。
自分の最初の文章を読むと恥ずかしいですね。
今は恥ずかしくないかって突っ込まれそうですが、十分恥ずかしいです。はい。慣れただけです。厚顔ですから。

 

1978年に発行された、表題作を含んだ18篇の短編集なのですが、直木賞候補になっていたんですね。
読んでから20年以上たつのですが、そこの感想を書くまで気付きませんでした。

 

この18篇を読むと、「奇妙な味」と評される作品群を多数輩出した阿刀田高のエッセンスが
全て含まれていることが良くわかります。
ネタとしてはお得感のある短編集ではないでしょうか。

 

それぞれの作品は今読むと、予測できてしまう人も多いかもしれません。
ですが、これらは1978年の作品だということは忘れてはいけません。
やはり最後の数行で日常から非日常に暗転させるテクニックは秀逸でしょう。
読んだ当時、オチを読むたび「やるな~」と唸ることばかりでした。
星新一の持つブラックさとは違い、より人間くさいブラックさ、
人間誰もが基本的に持っているようなそんな身近なブラックさがリアルで怖い。

 

「奇妙な味」とはよく言ったものです。

 

読みやすいし、難しい本を読んでいたりするときに気分転換で読める本なのでこの手の本は重宝します。
(最近難しい本を読んではいませんが・・・)



ところでこの作品は昔、ドラマ化された気がするんですけど気のせいでしょうか。
世にも奇妙な物語だったのかな?
誰が出てたかも思い出せないし、勘違いかもしれませんが、あったらまた見てみたいな。