吉祥読本

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独白するユニバーサル横メルカトル --平山夢明

「BOOK」データベースより引用
タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子の
おぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。
学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に
救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、
ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。



・・・・ちょっと困るんですよね、こういうの~
このミステリーがすごい2007年度1位として文庫で平積みって、いいの?
確かに単行本の時にギーガーっぽい表紙を見かけて題名も印象的だったのでなんとなく覚えていて、、、
何の知識も無く、この本に関するレビューも目にしたことも無く、作家の名前も知りませんでした。
そんなヤツが読む可能性があるんですから平積みはやめてほしかったです。
この手の作品は事前に覚悟が必要だと思います。万人が読める作品ではありません。
(確認もせず条件反射で買った方も悪いけど。。。)

 

スプラッタとかグロいのとか平気な人は読んでみてください。自己責任で(笑)



8話あるので簡単に。

 

「C10H14N2(ニコチン)と少年--乞食と老婆」
 題名は駄洒落なんだろうけど、子供のあっけらかんとした悪意が嫌だ。
 乞食と老婆は意味不明でしたが、解説でグリム童話のパロディと書いてありました。

 

「Ωの聖餐」
 映像を想像しただけで嫌な脂と匂いで身体中が覆われているかのような感覚に襲われ、これも嫌だ。

 

「無垢の祈り」
 少女が痛々しくて嫌だ。

 

「オペラントの肖像」
 この短編集ではじめて「おっ、いいかも」と思いました。この題材をこの短さで書ききったことで
 切れ味抜群な印象。本来であれば長編にできる題材と設定です。
 結局これが作品としては一番いいと思いました。

 

「卵男」
 これもあまり抵抗無く読めたほう。最初、読みにくさは感じたがSF映画にありがちな設定。
 アニメ映画になっているらしい。

 

「すまじき熱帯」
 「地獄の黙示録」をグロくした感じ。気持ち悪くてこれもいい気がしない。
 ドブロクの目的と変わり方に目が点。ちょっと笑った。
 筒井康隆バブリング創世記を一部意識したらしい。 わかるけど、ちょっと違う気がするなあ。

 

「独白するユニバーサル横メルカトル」
 この発想力には驚いた。こういう突飛な題名にも魅かれる。わかってみると突飛ではないのだが、
 独白するんだから突飛か。 執事のような語りに含まれる皮肉に、思わずニヤリとさせられる。
 語り口から漂う健気さにも好印象。一体どんな仕事ぶりなのか、イメージが明確に涌かないのだが
 遮蔽とか誇張とかがどのように行われているのかを知りたい。
 この仕事のイメージがきちんと理解できたらこの作品群でダントツの一番だったかも。

 

「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」
 読むのが辛い。題名だけで十分です。
 こういう系統の作品を今後積極的に読む気にはなれません。絶対に嫌だ!



「オペラントの肖像」と「独白するユニバーサル横メルカトル」との2本立てだったらよかったのになあ。。。
そしてこれがなぜ国内ミステリー部門1位だったのでしょうか。
それが最大のミステリーってこと?