吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

ブレイクスルー・トライアル --伊園旬

「BOOK」データベースより引用
技術の粋をつくしたIT研究所に侵入し、ミッションをクリアすれば1億円が手に入る一大イベントが開催されることになった。元IT企業の社員チームや、ひょんなことから紛れ込んだダイヤモンド強盗犯グループなどが参加を表明。生体認証や警備ロボットをはじめ、数多のセキュリティが設置された難攻不落の要塞を攻略するのはどのチームなのか。第5回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。


知らない作家さんでしたが、第5回このミステリーがすごい!大賞受賞作、という帯にひかれ再び挑戦しました。再挑戦とは、独白するユニバーサル横メルカトルで痛い目(色んな意味で)に遭ったので、ということです。で、やはり「これが大賞なのか?」と驚かされる結果に。。。「このミス」の基準がどうしても理解できません。

 

いくつかのグループがそれぞれの思惑を持ちながら「技術の粋をつくした」建物(笑)に侵入するイベントに参加するって話しです。
対象とする建物の堅牢さがちっとも伝わってこないし、緊迫感も感じないし、本には見取り図があるのにキャラクターたちがどこに居るのかも補足しきれませんでした。(真剣に補足する気が起きなかった、というのもあります)
登場人物が多いのはまだいいのですが、キャラ設定が全体に薄く、ノリが軽い。(軽さを装っている?)
伊坂さんの「陽気なギャング~」のノリに近い気がしますが、伊坂さんならもっとスタイリッシュな作品になったでしょう。
鼻につくまわりくどさ、都合の良い展開など、読んでいてあまり頭に入ってこなかったのは花粉症で朦朧としているせいでしょうか。
2/3くらい読み進めているにもかかわらず一旦やめようかと思ったくらい集中できませんでした。
やりたい事が全てにおいて中途半端な感じがしたし、登場人部の誰にも感情移入できませんでした。
きっとこの男は最後にどんでん返しを起こすキーパーソンに違いない、と思っていた中井という男に至っては、途中から登場しなくなり(後方支援として現場には居るはずなんですが、全く言及されなくなるんです。。。)最後の最後まで名前すら出てこないままイベントは終了し、後日談にも出てきませんでした。。。。。。
私が見逃しているのかもしれませんが、確認するのもやめました。
この作品の「このミス大賞」は痛い目にこそ遭いませんでしたが、疑問を大きくする作品になりました。
「独白するユニバーサル~」はある意味凄かったし面白いところもあったけど、これは。。。ただのドタバタ劇では?
今回は大賞がありません!というのも大事だと思います。