吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

TVJ --五十嵐貴久

テレビ局を謎のグループが乗っ取って、人質の一人になった彼氏を婚約者のOLが孤軍奮闘する、という内容。
えと、ハッキリ言って突っ込み始めると字数制限に引っかかるくらい突っ込みどころ満載です。
OL版「ダイ・ハード」であり、それに村上龍の「半島を出よ」を彷彿させる内容が加味された感じ。
踊る大捜査線も入ってるかな。
さほど手に汗を握る事も無く、あり得ね~、と思いながら読むこと多し。

 

されどなんでしょう。
ここまでやられると突っ込む気が失せてしまい、もう黙って楽しもうというポジティブな気持ちになるから不思議だ。
何も考えてはいけない。そして、何も考えたくない時にはこの作品はうってつけだ。
その点、いいタイミングで読めたと思う。一週間前に読み終わっているのに結構内容覚えてるし(笑)

 

幻のデビュー作というだけあって荒削りなのは仕方がない。
けれど、読ませてしまうパワーを持っていることは確かです。
(メジャーデビューは「リカ」ですが、本作はサントリーミステリー大賞に応募して佳作になったそうです)

 

本作には交渉人が出てくるのですが、この作家さんの「交渉人」の原点かもしれないのでそれも是非読みたいものです。