吉祥読本

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跳躍者の時空 ::フリッツ・ライバー

今年初の奇想コレクションです。
10篇中半分が天才猫ガミッチシリーズからということで、表紙を含めて猫だらけの作品です。
他の作品にも猫がちょっとだけでてきたりするので猫好きさんにはたまらないでしょう。
作者は猫好きだけあって猫の仕草の描写が目に浮かぶようです。
ただただ可愛らしい、猫好きのための猫好きによる作品群です。

 

ガミッチシリーズ以外の作品に関しては「骨のダイスを転がそう」が良かったです。
だめだめな男は最後までダメなんだなあ。
まっすぐ家に帰れないのは辛いと思うが、家に帰るほうが辛いこともある。。。か?(笑)
「王侯の死」も何とも変わった作品で正直なところ「面白い気がする」というあいまいな感想にとどめます。

 

これ以外の他の作品に関してはちょっと相性が悪いなと思いました。
実はラファティを併読していた期間があったせいかもしれませんが、ラファティのほうが断然面白くてどちらが奇想コレクションだっけ?って感じでした。どうも頭に物語が入って来なくてかなり苦戦。
面白いとか面白くないとかの前に、脳に届くまでに文字をはじいてしまっているような感覚でしょうか。

 

例えば最後の 「春の祝祭」は最後のほうでやっと作品の方向性がわかったのですが
数字にまつわる男女のゲームを延々と読まされるのはまあいいとして、やたら注釈が多くて辟易しました。(注釈を読んでも結局わからないことも多くて。。。)
多分これらの作品を読むには宗教や文学その他の知識が必要になるのではないでしょうか。
むしろ注釈を無くしておけばリズム感が出て面白くなったかも。

 

多くの作家さんが実力を認めているので、理解できればきっと面白いのかもしれませんが、ちょっと残念。



作品リスト
「跳躍者の時空」 「猫の創造性」 「猫たちの揺りかご」 「キャット・ホテル」 「三倍ぶち猫」 「『ハムレット』の四人の亡霊」 「骨のダイスを転がそう」 「冬の蝿」 「王侯の死」 「春の祝祭」の10篇。