吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

ロールシャッハの鮫 /スティーブン・ホール

エリック・サンダーソンは目を覚ました。だが自分が何者で、どこにいるのか、
まったく思い出すことができない。
失われた記憶の手がかりは、今は亡き恋人クリオとの日々を綴った日記だけ。真実を知るという
ドクター・フィドーラスを探すべく、エリックは気むずかしい愛猫イアンとともに出発する
―サイコ・サスペンス×サイバーパンク×ラブ・ストーリーのかつてない融合。
UK発、小説の最新進化形。世界30ヵ国を席巻した驚愕のデビュー作。(「BOOK」データベースより引用)



イギリス発のサイーバーパンク。。。。という言葉に魅かれ、部厚いにもかかわらず読んでみました。
記憶をなくした主人公・エリック・サンダーソンは初代エリック・サンダーソンを名乗る自分?からの
手紙を手がかりに愛猫とともに真実を探る旅に出る。
手紙はエリックが記憶を無くしていることを前提に書かれていて、特に「概念魚」に関する注意事項に
重点が置かれている。
この概念魚が鮫のことなんですが、もちろん普通の鮫ではない。
概念の中に棲む鮫なのだ(まんまじゃん!)

 

前半部が特に冗長で謎ばかり提示されて結構苦痛でした。こりゃ厚くなるわ。
で、後半から急にスピード感を増す。アスキー文字のようなテキストによるパラパラ漫画めいたものやら
暗号など視覚的にも楽しませようとする姿勢が窺われる。
まあ、肝心なところが映画「ジョーズ」なんですけどね(笑)
それ自体はいいけれど、なんだか自分の思っているサイバーパンク感がほとんど感じられませんでした。
そのうえラブストーリーの部分はもうほとんど削ってくれてもいいと思うくらい。
彼女が出てきてからスピード感を増すのだから必要な要素なのかもしれないけれど
恋愛パートを削ってくれたらもっとスピード感が出たんじゃなかろうか。

 

題材としては嫌いではないので残念。自分には合いませんでした。
映画化するらしいが、確かに映像で観る方が面白そう。
ただし、CG使いまくりの3D映画になることは間違いないので、
金額に見合うだけの映画にできるのか、そのあたりがいちばん気にかかります(笑)