吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2012年6月の読書リスト

6月に読んだ本の感想を少々。



2012/6/3読了
::夜の国のクーパー
伊坂幸太郎
 前半は冗長な部分もあり心配になったが、いつもながらのメッセージに加え、いくつかの言葉に共感する。
 もう少しハードな物語になるか?伊坂版「トリフィド時代」か?などと思いながら読んでいたが
 トム君のおかげでいい意味で期待が裏切られる。 「そんなあ~」と呟きたくなる展開を含め、
 多少無理やり感のある回収もありつつ、でもやっぱり伊坂ワールドは前向きで優しくて気持ちいいのだ。
 期待が大きい分、ちょっと物足りなさはあるんだけどね。



2012/6/9読了
/幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人
阿部和重
 途中何度か読むのを止めようかと思ったが、阿部さん初のノンフィクションということで読み切った。
 ノンフィクションというか、ほぼインタビューで構成されていて、
 「わたしたち」(一緒に取材している編集者)や「かもしれない」の多用に阿部さん自身の
 主体性を感じない。無理やり主題にこじつけようとしている姿が浮かぶ。
 大震災の影響は理解できるが。。。



2012/6/17読了
/チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち
遠藤誉
 日本と中国の今後の関係を考察するためには、中国の人物相関は非常に有用な資料となるでしょう。
 日本で流れる一面的なニュースも別方向から冷静に読み解く必要性を痛感する。
 現在、全く機能しているように見えない日本外交が本当に心配だ。



2012/6/20読了
/高橋是清井上準之助―インフレか、デフレか
鈴木隆
 題名を見て、長い間停滞したままの日本経済を立て直すヒントがあるのかな?と思いつつ読んだが、
 やはり簡単な二元論で納まる事ではないですね。
 しかし、当時の政治家が本当の意味で政治生命をかけていたことはよくわかる。
 それに比べて(比較すら必要ないが)今の政治家の政治生命の軽さには呆れるばかり。
 政局だけに明け暮れる政治家達には、とことんうんざりする。



2012/6/30読了
/双頭のバビロン
皆川博子
 ウィーン、ハリウッド、上海を舞台に鴉片と汚濁と欲望が絡み合う中、双子のゲオルグユリアン
 そしてツヴェンゲルの複雑な運命が描かれる。
 途中までは長回しの連続で構成され、後半はスピード感溢れるカットで見せてくれる映画のよう。
 重厚で濃密な映像を見せられている感覚だった。
 壮大な物語りを読み取るには苦労したが、読み終えたときの至福感を充分堪能できた。素晴らしい!




6月末は皆川ワールドにどっぷり浸ったおかげで結局5冊で終わってしまいましたが、
堪能できたから良しとしましょう。