吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2018年2月の読書リスト

年度末作業の追い込み、頑張りましょう。



 2018/2/4読了
 /レッド・プラトーン 14時間の死闘
 クリントン・ロメシャ
 アフガニスタンの前哨基地キーティングで、実際に起きた米軍とタリバンとの
 戦闘の記録。
 著者は現場で実際に闘った兵士。主だった同僚の人物像が写真付きで紹介される
 ところから始まり、絶望的な戦場と化していく様が凄まじい。
 本でこれ程の戦闘描写を読んだ記憶が無いが事実であることに圧倒される。
 戦闘の是非、前哨の立地の決定過程への疑問など色々思うことはあるが、
 安全な場所で暮らしている人間が口を出せるものでは無い。
 彼らに守られているという現実から目を背けてはいけないし、知らなければ
 いけないことが沢山あると痛感した。



 2018/2/7読了
 /人類史上最強 ナノ兵器:その誕生から未来まで
 ルイス・A. デルモンテ
 ナノ兵器を連呼しているがナノテクノロジー全体(素材、技術等)をごった煮で
 ナノ兵器として一括りにしているため解り難い。
 また、似たような事を何度も繰り返し定義していることも正直ウンザリ。
 確かにAIを搭載したモスキート型や細菌型、自律型の兵器は、ある意味核兵器以上に
 やっかいなものだと思うし、その流れに向かってはいるのだろう。
 が、情報も少ないから仕方がないにしても、これから立ち上げる新規プロジェクト用
 に検索して情報を集めてみましたので皆さんのご意見を頂けますか?
 と渡されたパワポみたいな印象しかなかった。



 2018/2/11読了
 /龍の右目―伊達成実
 吉川永青
 伊達政宗を支えた三傑の一人、伊達成実の生涯を描く。
 智謀の片倉小十郎と共に政宗の天下統一への夢を武辺で支えていたが、政宗の複雑な
 気性ゆえ翻弄される成実の苦悩は尽きない。
 友人でもある小十郎の高い能力に嫉妬したり落ち込んだりする姿など、
 ただ勇猛果敢な部分だけでは無い人間臭さも描かれる。
 力だけでは生きていけない太平の世への変化に対応しなければいけない伊達家中の
 混乱はもの悲しくもある。
 伊達家中からの出奔、復帰などエピソードに事欠かない割りにあまり知らない
 人物だったので興味深く読めた。



 2018/2/19読了
 /スウィングしなけりゃ意味がない
 佐藤亜紀
 第二次世界大戦中のドイツで敵性音楽(ジャズ)と共に逞しく生きるスウィング・
 ユーゲントたちが佐藤亜紀作品とは思えないほど軽妙な文体で描かれる。
 軍需工場の経営者を父に持つ主人公が醒めた視線でナチスや戦争のバカバカしさを
 あぶり出し、あらゆる手段でしぶとく生きる様は痛快。
 音楽を通して自由を求める戦いを挑む若者たちの青春物語って感じで清々しい
 読後感だった。



 2018/2/24読了
 /北極がなくなる日
 ピーター・ワダムズ
 海氷や海流が地球に及ぼすメカニズムや温暖化の原因など、時に専門的な内容が
 理解できない部分もあるが、海氷研究を長年研究してきた著者の持つ危機感が
 ヒシヒシと伝わってくる。
 自分一人が何かをやっても意味が無いとあきらめてはいけないんだな。
 小さなことでも今すぐにできることはある。



 2018/2/28読了
 ::感染地図: 歴史を変えた未知の病原体
 スティーヴン・ジョンソン
 1854年のロンドン、ブロード・ストリート周辺でコレラの感染が広まった。
 コレラの原因を探る医者ジョン・スノーと副牧師ヘンリー・ホワイトヘッドの行動を
 トレースすることで当時、細菌の認識が無い中でどのようにコレラが収束したかが
 わかる。
 丹念に情報を集め、統計化することで未知の病原菌の感染源を探す手法は現代にも
 通用するし、様々な分野で通用する。
 環境だけではなく、その時代その場所でなぜ感染が起きるたのかなど様々な背景と
 考察は非常に面白く読めた。



6冊読了。