吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2018年10月の読書リスト

あっという間に、フワフワと10月が終わっていました。
読書のほうは調子が上がってきたけれど、まだエンジンがかかった感が無い状態。
9月の飯嶋和一ワールドに続き、10月は飛浩隆ワールドに染まるという作家集中型
でしたが、全く飽きさせない飛作品は素晴らしいの一言に尽きる。
廃園の天使が3冊のシリーズだったとは誤算だったが(苦笑)楽しみが増えたとも。
11月は壊れない程度にギアをアップしましょうか。



 2018/10/6読了
 ::下町ロケット ヤタガラス
 池井戸潤
 「ゴースト」後編はテンポよく伏線の回収をしながら佃製作所が危機を乗り越えて
 いくという安定の予定調和なのだが、これを読みたかったので充分楽しめました。
 的場や重田、伊丹などの敵役はきちんと盛り上げてくれましたが(笑)佃の最後の
 決断は、唯一予測できませんでした。
 自分だったらあそこまでの決断をする自信はないが、その信念は見習うべきこと
 なのかなと思います。
 誰のために、何のために仕事をするのか?それを忘れてはいけませんね。



 2018/10/12読了
 ::グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉
 飛浩隆
 懐かしく感傷的な気分にさせる、ある種理想的な夏の描写が美しい冒頭が呆気なく
 崩壊していく様に圧倒される。
 AIたちが過ごす夏の区界に訪れる美しく残酷な展開は最後まで目が離せないが、
 読み手(人間=ゲスト)に突き付けられた醜い現実が苦い。
 丁寧に構築された世界をあっけなく崩壊させる潔さと詩的な描写のバランス感覚が
 とても不思議。



 2018/10/20読了
 ::ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉
 飛浩隆
 グラン・ヴァカンスに続く廃園の天使シリーズ第2弾。数値海岸や大途絶の謎を補完
 する短編集。
 物質世界と仮想空間を描きながら前作をより緻密に、そして厚みを持たせる世界観の
 構築具合はお見事。
 残虐で愛にあふれる物語は第3弾でどのように補完、拡張していくのか。
 世界に対して右クリックを効かせるような続編をお待ちます。



 2018/10/26読了
 /最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常
 二宮敦人
 確かにカオス感たっぷりの現役藝大生や卒業生のインタビューには思いもよらない
 考え方や生き方に驚かされるばかりだ。
 卒業後は半数近くが行方不明になるらしいが、これだけバイタリティ溢れる逸材たち
 が様々な分野に散りばめられているのだとしたら日本の将来もまだまだ期待できるの
 ではないか?と思う。



 2018/10/31読了
 /自生の夢
 飛浩隆
 天才詩人アリス・ウォンを絡めたいくつかの短編にしてもレムやクラークを
 想起させる短編も、とにかく視覚や聴覚に訴えかける言葉の構成に舌を巻く。
 著者の頭脳の中に広がる想像力、創造力は言葉に表すことはできないが、
 感じることが気持ちいい、とは言い切れる。




5冊読了