著者:吉川永青
出版社:集英社
今年は立て続けの家康関連本です。
家康が遺訓の本意を正しく理解させるため、過去に戦った武将たちに
それぞれ何を学んだかを林羅山に伝えるという連作集。
家康がステージアップたびに「最も」恐れた武将たちなので
8人いるのかい、などと題名にケチを付けてはいけない。
本書内で家康もその矛盾に言及していることだし(笑)
それにしても真田家で2人。やはり侮れない一族なんだな。
天下を治めるまでの忍耐力、敵味方を思うように動かす知略は
一朝一夕に手に入れたものではなく、頼りになる家臣団からの諫言を受け入れ、
恐ろしき敵の長所を自らのものに取り入れながら成長してきた様が語られる。
怒りに任せず、忍耐強く、敵への考察を重ね、時に寛容であることなど
自分の失敗や弱さを自覚しながら学ぶ、成長物語ということかな。
有名どころの武将が揃っているのでエピソードなど目新しさは無く、
各章はあっさりしているため、ある意味ビジネス書として読めた。
「天下大乱」同様、家康の心理的な部分にフォーカスされた作品が続いたが、
今後も戦闘シーンにあまり重点を置かない作品が増えるのかな。