著者:閻連科
出版社:河出書房新社
中国のある村で「夢遊」という病が伝染、拡大していく。
抑圧されていた欲望を隠すことなく行使していく人々の姿、
事態の顛末を少年の眼を通して描く。
最初から不穏な空気が流れる。
憂鬱な内容でありながら著者自身を登場させたり、時にユーモアで包み込む描写は、
逆に中国の抱える問題に対する諦観を浮き彫りにしているようにも受け取れる。
文体は閻連科らしさ全開だが、慣れるのに時間がかかった。
中国では発禁される作品が多く、どこが当局を逆撫でするのだろうかと思うようが
うまい具合に考え抜かれた表現で描いているのだろう。
込められたメッセージを読み取ることができたとは思わないが、
いつか理解できるといいな。