著者:長尾宗典
出版社:中央公論新社
国立国会図書館は一度しか訪れたことがないが、
本書を知り、その歴史に興味が湧いたので読む。
帝国図書館から現在の国立国会図書館に変わったものと思っていたが
意外にも紆余曲折があったよう。
明治時代に前身施設が作られ博物館を併設(のちに国立博物館に分離)、
帝国図書館と改称されるも、第二次大戦後、国立国会図書館が別途設立されると
分園(上野図書館)となり、最終的には児童書専門の国際子ども図書館と改称される。
国立の図書館であるが故の意義や理想と現実の間で奮闘する人々を簡潔に描き、
文化的、教育的役割としての図書館の存在を考えさせてくれる。
巻末の参考資料で、図書館に関する本がこれ程あるのかと驚いた。
「戦地の図書館」を読んだ時、アメリカ軍は積極的に本を戦地に送ったことを知り、
その成熟度に感心したが、日本も日中戦争の時点で同様なことを多少なりとも
実施していたらしい。
かなりボロボロな本もあったようだが、日本にもそんな発想があったことが
知れてほっとした。もちろん、戦争は無い方がよいのだが。
国際子ども図書館に関しては今後利用することは無いと思うが、
建物など歴史を感じられそうなので見学してみたい。