著者:クリス・ミラー
翻訳:千葉敏生
出版社:ダイヤモンド社
半導体の歴史や現在の状況が非常に分かり易く纏められ、また、
読み物としても面白い。
アメリカと中国の覇権争い、台湾や韓国の思惑、日本の栄光と挫折、
そして巻き返しなど、曖昧だった世界の動向にもうひとつの視点を
与えられたように感じた。
現状のアメリカのやり方に傲慢さは感じるが、デカップリングが進む中、
中国が半導体の覇権を握った場合を想像するに、
今までの行動を考えても中国の傲慢さはアメリカの比ではないでしょう。
日本的、欧米的な考え方は通用しないのだから。。
半導体製造において重要な国が地政学的に不安定な地域に集中していることは
不安しかない。
また、替えの効かない独自技術を持つ会社の動向に左右されてしまうことも
不安の一因である。
政治的要因だけではなく、自然災害や事故など何が原因で
半導体の明暗が世界中にどのように影響を及ぼすかは検討がつかない。
企業や国家が単独で構築できないレベルに達している半導体が
果たしてどのように世界を動かしていくのか、不安ながら期待を持って見守りたい。
特に日本がどのように盛り返せるかは日本の将来をも左右するわけで、
特に期待したいのだが。