吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

鯨の王 --藤崎慎吾

文藝春秋Webサイトより引用
小笠原諸島の深海で巨大鯨の骨が発見された途端、盗まれる。未知の鯨の可能性を指摘していたアル中の鯨類学者に、米バイオ企業から調査の依頼がくる。同じ頃マリアナ海域で米海軍攻撃型原潜(SSN)が襲われ、乗組員半数が変死を遂げた。調査に乗りだす米海軍、そして米バイオ企業に中東のテロ組織の思惑まで絡み合い、やがて……。物語を裏打ちする豊富な科学知識。深海の魅力に圧倒されること間違いなしのSF大作です。著者と主人公のモデルになった鯨類学者との巻末の対談も必読。



今更ながら言ってみますが、海洋SF&冒険ものが嫌いじゃないらしい自分。
大きなくくりで言うと海関連の作品が好きみたい。
わりと身近にありながら、目に見えない大きな謎がいっぱい隠されているその神秘性に魅かれているんだと思います。
今回集中して読んでいるには理由があって、夏が近いからってこともぼんやりとありますが、長い間積んであったこの「鯨の王」を読んでしまいたい、ということが「深海祭り(笑)」の真の目的だったのです。
この作品は単行本で買ったにもかかわらず2段組の大作で、いざとなると読む気になれないという期間が続いていたんですが、そろそろ文庫本が出てこないか?という不安に日増しに襲われてました。
マラコット深海を入手した際に、そうだ!祭りだ!海底二万里も再読だ!勢いで「鯨の王」も読んじまえ!!これが「深海祭り(笑)」の正体だったのです。晴れて作戦成功です(笑)海外の大御所作家たちの作品の流れにこれを入れていいのか?なんて深く考えてはいけません。いや、読み終わった今、この流れにはこの作品ではなくてメルヴィルの「白鯨」だよなと思ったのですが、それは無視無視!いや第二回の目玉に(笑)

 

この「鯨の王」は、現代版の「白鯨」みたいな作品だったんです。(前置き長くてスミマセン)多分「白鯨」は映画でしか見てないと思うんです。グレゴリー・ペックが目に浮かびますね。読んでないのに「白鯨」みたいとは適当な!と、お叱りを頂きそうですが本文にそんな記述がちょくちょく出てくるんです。
新種の鯨と思われる巨大生物(大きいのは60メートル!)が出てきますが、体が白いうえに、リーダー的存在の生物を「ディック」と名づけたり、対決する潜水艦艦長の名前も「エイブラハム」だったり。。。
この手の作品は好きなんでそこそこ楽しめましたが、最後まで登場人物に感情移入できませんでした。展開としては想像の範囲内であっても気にならなかったのですが、キャラクターが全体に薄っぺらで著者は軽妙な会話を狙ったんでしょうけど、たまにイラッとします。ただ、巻末にモデルとなった海洋学者と著者の対談が載ってるんですが、この学者さん、わりと本作の主人公に性格が反映されているような気が(笑)

 

それからテロリストが絡んでくるんですが、そっくりそのままテロリスト関連の部分を
削除してくれたほうがスッキリしていい作品になったのではないでしょうか。
それがなければ海洋エンタメ作品としてサクサクと読め、楽しめる内容だったと思います。「深海のYrr」と系統は似ていますが、「深海のYrr」のほうが面白かったかな。


そろそろ息が続かないので深海から出ようと思います。
深海の話しだっけ?と思ってもう一冊読んだのですが、やっぱり全然深海じゃなくて(笑)とりあえず本作を読む、という目的は達したので深海祭り(笑)を一旦終わらせます。


◆深海祭り(笑)リスト◆

 


※こんな記事もあります(自己完結版)
今まで読んだ深海がらみの作品も、ついでにリスト化してみました。
深海のYrr(フランク・シェッツィング)
わが赴くは蒼き大地(田中光二)

 

深海じゃないけど・・・
海の底(有川浩)


「海の書庫」作ったほうがよかったかも(笑)