吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

マラコット深海 --コナン・ドイル

東京創元社Webサイトより引用
大西洋の深海調査に出発したストラッドフォード号は突然、消息を絶ってしまった。
しかし遭難したと思われた乗組員たちは驚異の新世界を目撃して生還した。八千年の昔、人知をきわめた文明を誇る大陸が大西洋の底深く陥没し、そのときから海底に棲息する人類が誕生していたのだ。驚嘆すべき科学的予見に満ちたコナン・ドイルのSF!


これぞ子供の頃に読んだSFワールド!(この作品は読んでないと思いますが、ところどころ既読感が・・・)レトロでどことなくのんびりとした味わいの作品を読むのがやけに嬉しい。


長い綱に潜航函を吊り下げ深海の調査に行ったチームの顛末なのだが、当たり前だが今の深海探査船とは違い、なんとも手作り感タップリなイメージである。
科学的知識などないけど今からすると無茶だなあ、と思いつつ当時の人はきっと本当にできると考えただろう。
それにしてもドイルの豊富で広範囲な知識や説得力のある考察はなかなか見事です。

 

潜航函は海上にいる船に引っ張られて移動するのだが、深海で大きなエビに襲われ綱が切られてしまう。(「海の底」にも大エビが出てきたけど、どうもあまり怖さを感じないのは食欲のほうが勝っている?)
綱を切られ深海に落ち込んでいく潜航函は死を待つばかりなところ、意外にも人間に助けられる。
この海底人たちの潜水服は、なかなかよく出来ているシロモノではないでしょうか。
海底二万里よりあとの作品だけあって、こちらのほうがスマートですね。
今でも充分参考にできないかなあ、なんて思いました。

 

海底人たちは沈んだアトランティス人の末裔なのですが、なかなかの文明人だ。
潜水服もそうですが、意識をスクリーンに映し出してしまう装置を持っている。
言葉なんか判らなくても意思疎通ができちゃうシロモノなんですよ。
ただ、考えてることを表示させる装置って嫌ですけどね(笑)
いや決して変なことをイメージしてるわけではありませんよ~


いきなり「邪神・バール・シーパ」との対決が出てきてガラッと違う印象の展開になったりちょっとそれはどうなの?(笑)と思える海底からの脱出など、宗教的だったり科学的だったり。でも創造力も感じさせるなかなかバラエティに富んだ冒険SFでした。
こんな作品、好きなので、どんどん復刻してほしいです。


この作品を皮切りに静かに「深海祭り」を開始します(笑)