出版社で校閲をしている麻起子がある朝、目が覚めると頭に角(つの)が生えていた、というお話しです。
同じ会社で記者をしている恋人や、主人公の周辺にいる編集者、作家などがその事実を知るや・・・
と、まあドタバタ劇なのだが、なんだか空回りしていて感情移入できない。
「角」の生えた本人は悩んでいると言いながら普通に受け入れていて、悲壮感のかけらも感じられない。
廻りの人物たちもあっさり受け入れすぎ。
「角」が生えてなくてもいいんじゃね?と思うような流れは無駄な描写だらけ。
香港に「角」を切りにいく話しの顛末など無くてもよかったはず。
笑いをとりたいのかもしれないが編集者や作家先生との絡み具合は内輪ネタを聞かされているだけで
部外者には受け入れにくいと思う。
(いや待て、桜庭さんと編集者の会話はとっても面白いから内輪ネタもいけるはずだよな・・・)
興味深い世界ではあるので、出版社や編集者の生態、実態をオモシロおかしく描くことに徹すれば
良かったのではないでしょうか。なぜ角を出してきたか意味がわからない。
ただ、「角」を否定してしまうとこの作品を全否定することになってしまいますね。
軽~く読めそうだから選びましたが、古書店で買って正解でした。
以上。
今日はちょっと冷たいの巻。