吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2017年1月の読書リスト

不思議な天候が続いていますね。
2月は積んでいる作品を少しでも消化していきたいです。




 2017/1/3読了
 /むずかしい年ごろ
 アンナ・スタロビネツ
 不条理、ホラー、SFなどが混じり合ったような奇妙な味の短編集。
 岸本佐知子さんが集めた作品たちみたいな感じで面白かった。
 何となく既読感のある展開が多いが、それだけ好きな分野な作品集でもあったという
 こと。
 どの作品も共通して救いが無いというか明かりが灯らない感じがロシア版ホラーの
 特徴なのだろうか。
 またまた気になる作家さんが増えました。



 2017/1/7読了
 /地球の歴史(中) -生命の登場
 鎌田浩毅
 地球内部で起きる途轍もなく長い時間をかけた環境変化が生命の誕生や生物の
 大絶滅を繰り返しながら進化してきた様が説明され、上巻に続き圧倒されつつも
 分かり易い。
 光合成の始まり、磁場の成り立ち、マントルやプレートの動きや全球凍結など
 すべてが繋がっており、著者の言うところの地球と生物は共進化しているという
 言葉に納得。
 地球、生命とはなんと奇跡的な存在なのだろう。続きも楽しみです。


 2017/1/10読了
 /国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動
 伊藤祐靖
 海上自衛隊特殊部隊の創設者による国家に対する考察。
 既に退官されているが、自衛隊員の持つ葛藤や存在意義などを真摯に考えている
 著者の強い気持ちが伝わってくる。
 国のために戦うことに対する自問自答は共感したり反省させられたり。
 一般国民からすると独特な思考回路の持ち主に見え、著者の考え方全てに
 共感することはできないが、多くの刺激を受けたことは確か。



 2017/1/16読了
 /地球の歴史(下) -人類の台頭
 鎌田浩毅
 いよいよ人類登場に言及されるが、恐竜の絶滅やらヒマラヤ山脈アルプス山脈
 インド大陸がぶつかったことで できたこと(現在も進行中)、日本列島が大陸から
 離れた流れ(列島回転がぴんと来なかったが)などが興味深く読めた。
 また、温暖化が騒がれる中、地球は寒冷化の途上にあることや、地球の辿る運命も
 示されている。
 物理学や地質学等々、複雑に絡み合わせないと理解できない地球の歴史や仕組みを
 簡易に体系化してくれ、最後まで面白く読めた。

 

 
 2017/1/21読了
 /最高機密エージェント: CIAモスクワ諜報戦
 デイヴィッド・E.ホフマン
 アメリカとソ連の冷戦時代にモスクワで大きな役割を果たしたスパイの行動と心理を
 克明に伝えている。
 ソヴィエトの重要情報にアクセスできる主任技術者が体制に対する不満からCIAに
 協力するわけだが、当時のスパイ技術や毒薬を欲しがるスパイの心理状態、
 モスクワのCIAとCIA本部との方針の違いから生じる葛藤や、スパイがKGB
 拘束される顛末までが丁寧に描かれ、読みごたえがあった。



 2017/1/25読了
 /裏関ヶ原
 吉川永青
 関ヶ原の戦いには直接的に参加していなかった武将たちが表舞台で見えないところで
 生き残りをかけた戦いをしていたという話。
 全体的に派手さは無いが面白く読めた。
 特にあまり馴染みが無かった佐竹義宣最上義光が新鮮で、共に自らの義を
 貫くための生き方が印象的だった。
 いずれの作品にも家康と三成とのかかわりがチラホラと描かれ効果的。
 事前に「化け札」と「治部の礎」を読んでおくとより楽しめるかと。


 2017/1/28読了
 /ピカソになりきった男
 ギィ・リブ
 ピカソをはじめとして多くの著名画家の贋作を世に放った本人の著書だけあって
 生々しい。
 有名画家たちの連作、もしくは技術を完全に模倣した創造物として描いているため、
 いまだに本物の作品として展示、流通しているものがあるらしい。
 今まで展覧会で見てきた作品の中に偽物が混じっていたのかも?と思うと複雑な
 気分。
 売れる前のフェルメールが敢えて別の有名作家のサインをしてもらったり、
 ダリのサインの多様化が贋作を増やす結果になったりと、真贋を判断する専門家の
 資質を含め、芸術とは何かを考えさせられる。



7冊読了。