吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2017年8月の読書リスト

あっという間に夏が。。。。寂しい限り。



 2017/8/4読了
 ::決戦!関ヶ原2
 葉室麟/東郷隆/宮本昌孝/冲方丁/天野純希/吉川永青/簑輪諒
 決戦シリーズの関ヶ原第2弾は、前回に比べると盛り上がり欠けた気がするが、
 ニッチなところを掘り起こしている分、2作全体で考えると厚みが出たとの見方も
 できるか。
 島左近大谷吉継あたりはイメージ通りである意味安定的な内容。
 裏切る側の小川祐忠小早川秀秋は高すぎるプライドと行動のちぐはぐさが
 もの悲しい。
 今回はこれが面白い!と思えるような突出した作品が見当たらなかったのが残念。



 2017/8/8読了
 /米中もし戦わば
 ピーター・ナヴァロ
 中国関連の本を読むと、中国は長期計画を静かに粛々と進め隙あらば自国に有利な
 強行手段をとり、既成事実化していく事を繰り返していることがよくわかる。
 本書も同様に米中対立の軍事的リスクを冷静に分析していて理解しやすい。
 軍事技術の国家レベルでの盗用はいかがなものかと思うが方法はどうあれ米国の
 最新技術を凌駕しつつあることを考えると中国の脅威を意識しないわけには
 いかない。
 日本国内の政治やマスコミの動向を見ていると危機意識の欠如に眩暈がするが、
 とにかく今後も様々な動向に目を向けておこうと思う。



 2017/8/12読了
 /孟徳と本初 三國志官渡決戦録
 吉川永青
 三国志における官渡の戦いはその後を大きく変える変換点であることは
 言うまでもない。
 宦官の流れを汲む曹操と、名門中の名門出身である袁紹の二大勢力が激突するまでの
 様子が描かれる。
 もともと友人関係だった二人はジョーカー的存在の劉備により翻弄され戦いに
 突き進んでいくが、二人の苦悩や参謀たちとの関係性がよく伝わってきて
 面白かった。
 個人的には徹底的に自分の気持ちに忠実かつ冷徹な賈?が魅力的に見えた。
 やはり吉川さん、三国志関連の作品を今後も期待します。



 2017/8/17読了
 /東芝 大裏面史
 FACTA編集部
 雑誌「FACTA」の長期にわたる東芝に関する記事と編集者による総括。
 破格の高値でウエスティングハウス買収に踏み切る東芝と、そこまでの価値は
 無いと踏みとどまる三菱重工の違いはトップの資質の差ということか。
 確かに政府の原発政策や官僚の思惑などに翻弄されたとはいえ東芝の凋落は歴代の
 社長たちの確執により加速度を増した事は否めない。
 一方的に社長たちの行状を叩くだけでは不公平かな?と思いつつ、
 多くの社員と家族の気持ちを考えると彼らの罪は途方もなく重い。
 30年前発効の日米原子力協定の結果に要注目。

 

 
 2017/8/23読了
 ::戦争の法
 佐藤亜紀
 1975年、日本のN県がソ連のバックアップで分離独立し、ゲリラとなった少年が
 当時を回顧するという内容。
 皮肉とユーモアを織り交ぜながら淡々と語られる少年の心模様は戦時中とは思えない
 夢の中の出来事のよう。
 千秋、伍長、主人公の父など魅力的な人物たちとの関係も不思議で面白かった。
 後の作品である天使やミノタウロスなどの原型でもあるし、この時点で既に著者の
 ほぼ完成型でもあるのだなと感じた。



 2017/8/27読了
 ::猫舌男爵
 皆川博子
 皆川さんは読むたびに新しい驚きを与えてくれる。今回も5つの短編の様々な視点の
 仕掛けに翻弄された。
 それぞれ全く違う内容にもかかわらず共通する臭気が漂い、読んでいて居心地が
 悪いというか。
 唯一コミカルで遊び心いっぱいの「猫舌男爵」だが、実体の無さにじれったいこと。
 好みとしては「水葬楽」だが、女性画家の人生を逆回転させて描く「睡蓮」、
 目まぐるしい切り替えに置いてけぼりになりながらも読み終わってみると流石と
 感嘆してしまう「太陽馬」もいい作品。
 いずれも共通して何とも言えぬ美しさを感じるのは何故だろう。



 2017/8/30読了
 /AI経営で会社は甦る
 冨山和彦
 ここ数年AIを利用するための環境がだいぶ整ってきたかな?と思いつつ
 忙しさにかまけてネット上でしか情報収集をしていなかったが、
 遅ればせながらそろそろ何らかのアクションを起こさねばな、と思い読んでみた。
 特に目新しさを感じなかったが、著者のノリがそのまま出ている文体はいい意味で
 世界を相手にしようとする意識を持っていることが感じられる。
 取り敢えずローカルで頑張ります。



7冊読了。