吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2017年2月の読書リスト

世の中、あちこち騒がしいなあ。
積んでいる本が思っている以上に読めなかったので、3月こそと再度書いてみる。



 2017/2/3読了
 ::ウインドアイ
 ブライアン・エヴンソン
 見開きのショートショートも含め、25の短編集。「遁走状態」よりもバラエティに
 富んでいる。
 終わらない悪夢の断片の繰り返しというか悪夢と現実の狭間なのか、それとも
 現実なのか、主人公たちや周りの人物の存在全てが曖昧模糊としていて、
 とにかく不穏の連続。
 ふと寄り添ってくる恐怖感がクセになる。



 2017/2/8読了
 /無貌の神
 恒川光太郎
 いずれの作品もよくここまでコンパクトにしながら恒川光太郎テイストを
 出せているな、と感じた短編集。
 もう少し長めにしてじっくりと読みたかったなと思うのは贅沢でしょうか。
 表題作は得意の異界もので、ずっとこの路線か?と思わせたが、雰囲気的には
 「死神と旅する女」が最も良かった。
 獣をメインにした童話のような「カイムルとラートリー」は読後感が心地良い。



 2017/2/12読了
 /屋根をかける人
 門井慶喜
 ウィリアム・メレル・ヴォーリズさんのことは全く知識がありませんでしたが、
 こんなに凄い人が日本にいたことに素直に驚きです。
 全体的にサラリと書かれているがキリスト教の伝道者、建築家、近江兄弟社創立者
 など色々な顔を持ち、戦後の日本に多大な足跡を残したことはよくわかった。
 彼の熱意、功績の集大成が昭和天皇とのかかわりに現れているのでしょう。
 色々と勉強になりました。



 2017/2/15読了
 /深い穴に落ちてしまった
 イバン・レピラ
 題名通り森の深い穴に落ちてしまった兄弟の話し。
 大人のための寓話とあるがそこに込められている背景を読み取ることが
 できないままに終わってしまった感じ。
 過酷な環境から脱出しようとしているのはわかるが、結局なんだったのかな?
 何となくしか感じ取れなかったのが残念。
 あとがきに暗号的な仕掛けがあるらしいことや章立てが素数で構成されていること
 などに触れているがスペインの社会状況などを知ったうえでじっくり読み込まないと
 解けないのかな。

 

 
 2017/2/19読了
 /走狗
 伊東潤
 日本の警察の基礎を作った川路利良の生涯。大久保利通西郷隆盛伊藤博文などの
 大物政治家の走狗となりながらも自らの野望を実現しようとする姿はあまり共感
 できないが、ジョゼフ・フーシェを参考にしていた人物が日本にいたとは
 意外だった。
 それだけにこの人物がもう少し長く実権を握っていたならば、今頃日本にも
 CIA並みの諜報機関が存在していたかもしれないなと想像したりして。



 2017/2/21読了
 /ゾンビ・パラサイト―ホストを操る寄生生物たち
 小澤祥司
 以前「目黒寄生虫館」でカタツムリの触角に寄生して宿主を操るという寄生虫
 展示を見たことがある。
 寄生されたまま生きているカタツムリの姿が不気味だったし、これと同様なことが
 人間に起きたら嫌だなと思ったものだが、本書を読むとその可能性が?と不安倍増。



 2017/2/23読了
 /すばらしい新世界
 オルダス・ハクスリー
 ディストピア小説とあるが、結局のところユートピアを描くとこうなってしまうわけ
 か。
 伊藤計劃の「ハーモニー」にも影響を与えていて、ユーモアと皮肉たっぷりの内容
 かつ決して古さを感じさせない展開にこれが1932年の作品なのかと驚かされる。
 そして現代とこの小説の描く世界にどれほどの差異があるのだろう?
 と考えると。。。。



 2017/2/25読了
 /応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱
 呉座勇一
 今まで内容を把握してこれなかった応仁の乱をそろそろ理解してやろうと思ったが、
 結果、応仁の乱のようにグダグダな感じで理解しきれなかった。
 登場人物は多いし関係も複雑で。。。いっそ現代版ビジネスドラマに置き換えて
 放映してくれないだろうか。案外理解しやすそうな気がしますけど。



8冊読了。