吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2017年5月の読書リスト

全然暇になりません。読むペース、上げたいんですけど。



 2017/5/5読了
 ::雲雀
 佐藤亜紀
 「天使」に続けて読んで正解。記憶が薄れていたらこれほど楽しめなかったかも。
 相変わらず無駄な説明なく進行していくが、短編連作集なので読み易い。
 「天使」ではあまり感じられなかった登場人物たちの人間臭さが滲み出ていたと
 思う。
 すかさず「天使」を再読するときっとより楽しめそうだが、無限ループだな。



 2017/5/11読了
 /無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教
 鵜飼秀徳
 今年3月、義理の妹が亡くなり、葬儀の日に伯母の訃報が届いた。
 義父の13回忌等々重なり、色々なことを考えさせられる一か月間だった。
 そんな時にこの本を知り、読んだわけだが、墓のことや葬儀のことをはじめ、
 決して他人事ではないことが様々な事例とともに書かれている。
 火葬場の待機期間の長さや墓守のことなど思い当る事もあれば、
 恵まれた環境にいても孤独死が起きている事実をどう受け止めていいのか戸惑った。
 誰しもが避けられない問題なので、備えておかないといかんなあと切実に思う。



 2017/5/20読了
 /アルヴァとイルヴァ
 エドワード・ケアリー
 何事かに固執する人物が描かれ、ため込んだエネルギーがあるきっかけで
 解放される構図は「望楼館追想」同様。
 今回はプラスチック粘土で住んでいる街を箱庭のように作り込む双子が主人公。
 双子が街を救う奇跡というのがどういうことかは、この街の観光案内でもある
 本書を読めばわかるが、この作者自身が作ったという実際の彫像写真、
 特に双子の表情や佇まいはなかなか迫力がある。
 「望楼館追想」の主人公にせよ、双子にせよ、著者自身がかなり反映されている
 感じがする。



 2017/5/24読了
 /海道の修羅
 吉川永青
 信長が一躍名をあげた桶狭間で討たれた今川義元のイメージを払拭する描き方には
 好感を持ったが、師匠である雪斎の偉大さが目立ち、義元の主役感が削がれた
 気がする。
 後の家康に影響を与え基礎を作り育てた義元、雪斎、そして信長の描き方が
 なかなか面白い切り口で、このあたり吉川永青さんらしさを感じる。

 

 
 2017/5/31読了
 /グールド魚類画帖
 リチャード・フラナガン
 数年前から気になっていて、わりと最近読んだ本(思い出せない・・)にグールド
 もしくは本書に触れられていたのでやはり読んでおこうとスイッチが入ったのだが、 表紙から受ける印象と全然違う内容に戸惑うこと戸惑うこと。
 囚人グールドが過酷な牢獄で魚の絵を描きながら生きる姿に添えられる暴力と差別と
 グロテスクな世界。
 各章に挿入されている魚たちの絵も背景を知れば知るほど違うものに見えてくるし、
 ぐいっと引き込むストーリーとラストへの展開に目が離せない。
 そしてラストの思わずため息がでるような素晴らしさと言ったら。



5冊読了。