吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

武器としての資本論

著者:白井聡
出版社:東洋経済新報社

 

もちろん(笑)、資本論は読んでいない。
読んでみたいと思うことは何度かあったが、
結局手が出ないまますっかりオッサンになってしまった。
今更読んでも遅いかもしれないが、軽く読めそうなので挑戦した。
かなり抜粋して焦点を絞り込んでいるため、思っていた以上に
読み易かったので正解だったかも。
入門には丁度いいし、多分これ以上深堀りもしないつもり。

これから役に立てよう(武器にしよう)というより、
今までの経験と比較しながら読んでいたが、
今まで言葉にできなかったことやしてこなかったことが言語化されていて
成程と思うことがそこそこあり、まあまあ面白く読めた。
読み手によっては、特に若い人にとってはいずれ役に立つかもしれない。

ただ、武器になるのかな?と疑問も湧く。
そういう見方をすれば確かにその通りだな、
では、それを打開するにはどうすればいいのか、
そもそも打開した先に、何が待っているのか。

後半には「階級闘争」という最近あまり聞かなくなった言葉が
著者の熱意を伴って語られるが、あまり響かない。
年齢的なものかもしれないし(かなりこれだな)、
著者の語り口に引っ掛かりを感じるせいなのか、
真っ赤な表紙が気になるからか。


本書を読んだ後にこの人の発言だったと知ったのだが
レーニンのことを語るだけにすれば良いものを、
感情的にユーミンの批判をしたのは頂けない。
違う考えを持つ人を許せない狭量さは、何を言っても説得力を欠く。
引っ掛かりを感じたのは強ち間違っていなかったのかもしれない。