著者:サン=テグジュペリ
翻訳:堀口大学
出版社:新潮社
(表紙:宮崎駿)
長い間積んでいたが、ようやく読んだ。
てっきり小説だと思っていたが、飛行機や関連技術が確立されていない時代に
路線パイロットとしての経験をもとに書かれたエッセイ。
言い回しや文体など時代を感じさせ、決して読み易い文章ではないが、
言葉が染み入る感覚。
特に終盤の「砂漠で」「砂漠のまん中で」「人間」は
様々なことを考えさせるエピソードの数々、人々の行動や著者の考察には
感銘を受けるという言葉が相応しいかな。
奴隷を開放した顛末、友人との関係、砂漠に不時着した際の
命の危機の中での行動や考え方は人間としての生き方とはかくあるべき、
と提示されているようだ。
そこには何のお仕着せも感じられず、
長きに渡り読み継がれる作品であることが素直に理解できる。
若い頃に読んでいたらあまり理解することはできなかった気もするが、
若い頃に読んだうえで再読したかった。
とても読みごたえがあった作品。