著者:坂本龍一
出版社:新潮社
坂本龍一が57才時点でそれまでの半生を振り返った自伝。
ミュージック・マガジン増刊号で高橋幸宏の特集を読んでいる最中に
坂本龍一が旅立ち、同誌の坂本龍一追悼増刊号を立て続けに読んだ後なので
本書を読まずにはいられない気持ちを抑えられず。。。
先の増刊号の合間に忌野清志郎関連の作品も読んだので心の中では
追悼の日々だった。
ミュージック・マガジン増刊号では1980年前後のインタビューがいくつかあったが
やたら尖がっていた印象が強い。
本書は幼少のころからの音楽との出会いや音楽との接し方、
高校、大学時代の考え方や案外行動的だった様子、
YMOや細野晴臣、高橋幸宏の事、映画や映画音楽に関するエピソード、
「9.11」で受けた衝撃など坂本龍一の人柄や考え方が端的に伝わってくる内容だった。
特に映画関連の話はドタバタしていながらも多分楽しかったのだろう。
非常に面白いエピソードだった。
また、スケッチ・ショウへの思いが何とも愛らしい。
教授らしくない印象で、そんな側面もあったのかと。
1980年代のインタビューに比べてすっかり丸くなっているのがわかる。
先日、以前から行こうと思っていた京橋にある「国立映画アーカイブ」に
混雑していないだろう避暑地として見学に行ってきた。
偶然にも大島渚監督の企画展をやっていて
当然のことながら「戦場のメリークリスマス」に関する展示物もあり、
展示物の中に坂本龍一との契約書があったのでじっくりと読んでしまった。
(冷房が効いているうえ、あまり混んでないしね)
契約書だからあたりまえだが教授のサインと押印があってちょっと興奮。
さすがに契約金額のところは隠してあったけど(笑)
そんなこんなで近頃坂本龍一に関する様々な情報が頭の中で渦を巻いていて
新しい教授像が構築された気がする。
勢いに任せて、最近出た自伝「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」も読むだろう。
あと、「伝説の編集者坂本一亀とその時代」もね。