吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

本の幽霊

著者:西崎憲
出版社:ナナロク社


ページ数(115P)が少ないわりに装幀が贅沢な作りな短編集。

図書館でみかけて気になったので読んでみたが、思っていたのと違い

どの作品も劇的に盛り上がるわけでもなく、本に関わるちょっと不思議なことや

日常の断片の記憶がとりとめもなく描かれる。

読み心地は悪くない。

自然とゆったり味わうように読めた。

内容と関係が無い挿絵のページが差し込まれていたり、

そもそもその絵にいたずら書きのようなものまである。

それらのデザインや手触りなどは「銀河の片隅で科学夜話」を思い出す。

ファンタジー色が最も強い「砂嘴の上の図書館」が一番好きな作品。

「一冊の本のなかにはすでに無限があります」 という言葉がいい。


面白いとか面白くないとかが言いにくい作品だったが、

スタージョンを読んだ後の脳みそのクールダウンにはちょうど良い本だった。

勿論、スタージョンをディスっているわけではありません。


 
【収録作品】
「本の幽霊」
「あかるい冬の窓」
「ふゆのほん」
砂嘴の上の図書館」
「縦むすびのほどきかた」
「三田さん」