吉祥読本

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広島に原爆を落とす日 --つかこうへい

つかこうへいの描く、ひねくれた、不器用な愛情物語はとても好きです。
熱海殺人事件、飛龍伝、蒲田行進曲、寝取られ宗介、幕末純情伝、長島茂雄殺人事件・・・
どれもこれも愛すべき人物がとんでもない愛情を振りまいています。

その中で、ある意味究極の愛情物語りが「広島に原爆を落とす日」です。
もちろん架空の話しです。
題名は、不謹慎で、不快に思う人もいるでしょう。
けれど、なぜ原爆を「落とす」必要があるのか、「つかこうへい節」には
何度読んでも涙がにじんでしまいます。

アメリカ、ドイツ、ロシア、日本・・・第二次大戦の裏で、大国たちに翻弄されながら、
そして世界に影響を与えながら添い遂げようとする、ありえないけれどすごい男女の、
哀しい物語りは、つかこうへいの最高傑作だと思います。

愛は地球を回しちゃいますよ。