吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

ノーライフキング --いとうせいこう

今となってはすっかり古い内容になってしまった。・・・ように見える。

インターネット、携帯電話の普及で人と人のつながり方の変わりようは、
例えばたった10年前と比べても隔世の感がある。
パソコン通信の頃の悪戦苦闘なんて、それこそ嘘のようだ。
まあ、あの頃のほうがワクワクして楽しかったのも事実なんですけどね。

バーチャルのイメージがまだ一般に浸透していない頃、
インターネットが一部の人たちから開放され始めた頃、
ファミコンが爆発的に普及した頃に書かれた本書は、
いとうせいこう曰く、
「ある日突然降りてきた物語」に取り憑かれてあっという間に書き上げたらしいのだが、
こんな才能があったんだと感心した。(えらそうだな。)
だって何度読んでも面白いんですよ。


本書が出た当時とはデバイスが変わっただけで、
主人公の子供たちの姿はむしろ現在のことを描いているような気がする。
子供たちだけではなく、大人たちも然りかな。

賢者の石に全てを刻みつけようとする子供たちの姿に、思い当たるフシはありませんか?