吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

匠の時代 1-12 --内橋克人

最近の国内の話題は暗いものばかりだ。明るい話題を見つけるのは一苦労である。
どうしてここまで無気力で無責任な時代になってしまったのだろう。
理由を挙げればキリがない。
ネガティブなことを掘り出して嘆いてみても何の解決もしない。
どうすれば改善できるのか、自分は何ができるんだろうか。。。

ポジティブに考えなきゃ解決なんてできやしない!!

だけど上述したように楽しくて参考になるような材料は、探しても見つからない。
そんなときは先人に聞くしかないじゃないですか。


私は製造業に従事しているわけでも、していたわけでもはありませんので、
日本が経済成長した時代の製造業の実態は良く知りません。
でも日本を先進工業国に押し上げた原動力に関してはとても興味がありました。

その実態、情熱を感じさせてくれた本がこの「匠の時代」です。
この12巻を1989-1991年の間に集中的に読みました。
とても読みやすく、文系人間にとっても理解しやすい文章でした。

12巻あるので多岐に渡る分野の名だたるメーカーが登場します。
どのメーカーも共通しているのは新技術を開発しようとする熱意、工夫、忍耐、目的意識の
うらやましいくらいの旺盛さが生き生きと描かれています。
寝食を忘れて仕事に没頭する、というのはもう古い考え方なのかもしれませんが
(年齢的にはもうきついんですけどね・・・)
何もしたことがないのに、自分では何もしようとしないのに
評論家然としている人よりはいいかなと思います。

「匠の時代」を読んで古い話しじゃないかと笑い飛ばすのか、
素晴らしいじゃないかと思って自分も何かを作り出したいと思うのか、
人はそれぞれだけど、後者が増えればまだまだ日本にも明るい未来はあるのではないかと思います。

数年前に新装版がでているらしいので、きっと大事な教科書として使っている人も多いに違いない。
期待大!!


ただ、技術大国となった日本の歴史書、資料として読むことができる本書も
裏を返せば、今、大問題となっている温暖化を生んだことは当然ながら言及していない。
今はそのあたりもセットで考えないといけないんでしょうね。
難しい問題がいっぱいある。

いいや、温暖化だって同じ位に熱意をもって取り組めば解決策は見つかるんじゃないでしょうか。

・・・見つかるに違いない!!

自分ができることから、考えないと。