吉祥読本

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東京漂流 --藤原新也

写真雑誌の草分け的存在の「FOCUS」に連載されていたものがまとめられた本書は、
読んだ当時とても衝撃的な内容だった。
衝撃的過ぎて「FOCUS」の連載が中止になったのですが、実に多くのメッセージが含まれている。

「FOCUS」に連載されていたので、写真と文章がセットになっている。
この作品をどう形容していいのか。。。トンガッテイル、とでも言うのだろうか。
実のところ丁度いい言葉が浮かばない。
ボキャが欲しい。。。


「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」という言葉と共に、ある写真が掲載されている。
だが、出版社によって原稿は訂正され、藤原の考えとは違う記事ができあがる。
写真から商品も削られる。
(当然といえば当然なのですが・・・)
本書には両方のバージョンが掲載されているのでどのような改定が行われたかがよくわかる。
藤原は改定されたことに納得することはできない。

そして、最終的には連載は中止される。


彼が社会に向けた過激なメッセージを今では見ることはできないでしょう。
引き継ぐ者もいないでしょう。
牙を抜かれた社会は、牙を持つものを許さないでしょう。


今ではすっかり見かけることがなくなった東京の最後の野良犬に関する写真と文章も印象的です。
特に犬が好きな人はあまりいい気持ちがしないかもしれません。
が、色々と考えさせられる作品です。
その他にも見たくない写真があるかもしれないので、
読む場合は事前にパラパラとめくって確認したほうがいいかもしれません。


ただ、読めば「あの当時の匂い」を感じることが出来るのではないでしょうか。