吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

チルドレン --伊坂幸太郎

もうとっくに読み終えていたのですが、本作と「フィッシュストーリー」(後日書く予定です)は、

 

ザッーとでもいいので再読してから、と思っていたので遅くなってしまいました。



 「短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。」

 

5本の短編が並んでいるように見えますが、これはやはり長編なのでしょう。



本作は陣内という男のキャラが全てにおいて影響を与えてしまうストーリーです。

 

全盲の青年、永瀬も魅力的で気になる存在ですが。。



いつもの伊坂作品同様、本作にも気になる台詞が出てきます。



「レトリーバー」の章からの引用(抜粋)です。



盲目の永瀬に「善意を押し付けてきた婦人」をみて、

 

「何で、お前がもらえて、俺がもらえないんだよ」と怒る陣内。

 

「たぶん、僕が盲導犬を連れているから、じゃないかな。目も見えないし」と答える永瀬。

 

「は?」唖然とした顔で陣内は言う。

 

「関係ないっつうの。ずるいじゃねえか」



陣内の凄さがここに表現されているのだと思う。この台詞にはやられた。

 

よく言った!陣内!!と共感する。




親子関係に対しても、陣内はあっさりと言い切る。



 「そもそも、大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ。」



明快だ(笑)



こんなことを平気で言い切るヤツなので周りの関係者たちは次々と巻き込まれ、振り回されます。

 

そして数々のちょっとした「奇跡」を見ることができます。

 

奇跡と言う言葉、伊坂作品には良く使われますが、好きなんでしょうね。

 

ちょっとした「奇跡」を描かせたら右に出るものはいないかもしれません。

 

いい作品でした。



街中で熊の着ぐるみを見かけたら、要注意かもしれない(笑)