吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

フィッシュストーリー --伊坂幸太郎

本書には、「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」の
4篇が収録されています。
いままでの伊坂作品に出てきた人物たちのサイドストーリー的作品です。
私の大好きな黒澤が随所に出てきます。

 

何作か事前に読んでから本書を読むほうが楽しめると思います。
少なくても「ラッシュライフ」「重力ピエロ」を読んでおいたほうがいいかもしれません。



全篇を通して伊坂テイストが薄く散りばめられてますが、初読では少し物足りなさを感じていました。
まあ、短時間で勢いつけて読み終えてしまったもので・・・言い訳です。

 

ですから再読の機会を伺っていて、感想をアップするのをずっと控えていました。
そして突然(笑)、チャンスが到来したので再確認できました。
何せ、去年読んでいるので忘れかけていましたからね。記憶、ギリギリセーフです。

 

いやあ、「最初思っていたより、全然面白い。」というのが再読後の感想です。

 

その中で一番好きなのは「ポテチ」です。
これ、二度読みしてよかったなあ。と言う感じ。
題名の付け方が秀逸ですね。好きです。こんな題名の感じ。



 大西「塩味も食べてみたら以外に美味しいから」

 

    「コンソメ食べたい気分だったんだけど、塩は塩で食べてみるといいもんだね。
    間違えてもらって、かえって良かったかも」

 

 その台詞に今村が無言で泣きじゃくる・・・



最後まで読んでからこの部分を読み返すと沁みました。このあたりだけ何度か読み返しちゃいました。
今村がいいんだよな~。
「ポテチ」の終わり方は伊坂っぽくてグッと来ました。
展開、収束のさせ方、いずれもよくできています。
他の作品もそれぞれ違う味わい方ができて良いですねえ。

 

って、読んでない人ゴメンナサイ。
いつもこんな感じの説明なしの感想だけで・・・



ところで 「ゴールデンスランバー」 でも書いたのですが、
よく見ると意図的と思われる会話の字数合わせが既に散りばめられていました。
もしかしたらもっと前からやっていたのでしょうか?