吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

絆のはなし --伊坂幸太郎×斉藤和義

伊坂幸太郎自身が語ることで読了本の気付かなかったことや
違う視点のヒントなどがありそうな気がしたので読んでみました。

 

きっかけはぐぅさんの記事を見てどうしても
読んでおきたいと思ったからです。

 

ちなみにミュージシャンの斉藤和義の曲は「歩いて帰ろう」しかわかりません。
聞いたらわかる曲があるかもしれませんが・・・

 

本書は二人の対談、エピソード、年表、100の質問などで構成されています。



本書でまず印象に残ったところは9歳の頃の話で「千葉の海で殺し屋と遭遇!?」です。

 

そのまんま引用しますと、

 

 千葉の海で、父と弟と3人で射的をやる。父は全然ダメで、その後に来た家族のお父さんが
 ものすごくうまかった。
 それを見て、ふと父が「いるところには、いるもんだなあ・・・・・・殺し屋が」と真顔で呟いた。

 

  →「射的が上手い=殺し屋だ、という発想がまず驚きですけど、本気で言っていたんですよねえ。
    ボソッと。
    弟と二人で、ああ、父親が正しいわけではないんだな、と知った瞬間でしたね」



勝手な解釈ですが伊坂作品に影響する案外重要なポイントがここにあると思いました。

 

日常に銀行強盗とか、殺し屋とかを違和感なく埋め込んでストーリー展開してきた伊坂の作品全体に
何となく感じるふわっとした雰囲気は子供の頃に、とぼけた(失礼!)お父さんから
強い影響を受けたからなのではないかと。

 

例えば、Story seller(小説新潮別冊)に掲載されている作品「首折り男の周辺」ででてくる
「疑う夫婦」、「ラッシュライフ」に出てくる「銃を手に入れた老夫婦」は
同じようなとぼけたというか、おっとりした雰囲気を感じたんですが、
共にご自身の親がモデルになっていないだろうか。
なんとなくそんな気がしました。



次に気になったところは、25歳のころの話し。
「悪党たちが目にしみる」(「陽気なギャングが地球をまわす」のもとになった作品)の公開選評で
徹底的に批判された伊坂に、その場にいた北方謙三が声をかけたらしいのだが。。。。



 受賞する事を疑わなかった広告代理店の人と二人でぽつんとパーティー会場にいたら
 北方謙三さんに肩をポンと叩かれて、
 『お前は頑張れば、どうにかなる。佳作でも本にしようといわれるかもしれないが、それは断れ。
 ちゃんと受賞してデビューしなきゃダメなんだ。
 30歳まではコテンパンにされても続けなさい』と言われたんです。
 その二人のおかげで、『明日も書こう!』って思えました。



北方謙三っぽいハードボイルドなセリフです。
映画「逃亡者」と、北方謙三逃れの街 とは
編集会議2月号のインタビューでチラッと「ゴールデンスランバー」を書くときの
参考にした、とあります。
北方謙三を以前から好きな作家とも書いてありますが、このパーティー会場での出来事に
伊坂が恩返しの気持ちをこめたんではないか、なんて思ったのですが。

 

いずれにしても私の勝手な解釈なのですが合点がいっています。




それから、ぐぅさん同様、伊坂が影響を受けた作品としてあげた大友克洋の「童夢」を再読しました。
AKIRA」とともに、いずれ感想を書きたいと思います。
あと、丸山健二の「ときめきに死す」も出てきたので「ヨシッ」って思いました(笑)
どっかにあるはずなので、いずれ感想を書きたいと思います。



最後に、斉藤和義さんに関しては申し訳ないですが、わからない事ばかりなので感想が書けません。
ただ、伊坂が作家活動に専念するきっかけが斉藤和義の歌だったということは感謝したいです。

 

なので、無理やり書けることだけ書いて終わりにしたいと思います。



伊坂幸太郎とともに「100の質問」に答えてますが、斉藤和義さんに一番共感した事。



 「好きな動物は?その動物のどんな仕草が好き?」という質問で

 

 「ネコ。臭いもの嗅いだときの「クサッ」って顔して固まるところ」って答えたこと。

 

 (そんなことかいっ!!)



100の質問は、二人の人柄がでていて意外と楽しめました。



全体を通して伊坂作品(&斉藤作品)をサポートする副読本的な内容であり、
それぞれの人柄を感じる事ができました。

 

読んで良かった!