吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

ブルースカイ --桜庭一樹

「BOOK」データベースより引用
西暦1627年、ドイツ―魔女狩りの苛烈な嵐が吹き荒れるレンスの町で、10歳の少女マリーは
“アンチ・キリスト”に出会った…。
西暦2022年、シンガポール―3Dアーティストの青年ディッキーは、ゴシックワールドの昏い眠りの中、
絶滅したはずの“少女”というクリーチャーに出会う…。そして、西暦2007年4月の日本。
死にたくなるほどきれいな空の下で…。3つの箱庭と3つの青空、そして少女についての物語。



長編を読んだ後なのでサクッと読めそうな本を引っ張り出しました。が、・・・・
三部構成の本書はドイツ、シンガポール、日本が舞台になっているのですが、
桜庭さんファンには申し訳ないですが第一部のドイツ編だけで一冊書いてくれれば良かったのに、
と思ってしまいました。
第二部、第三部は読んでいてどんどん加速度をつけて集中力が落ちていく感じでした。
偶然古川さんの魔術絡みの作品を読んだばかりなので、自然と比較してしまったのかなあ。。。



ドイツ編は1627年。「魔女狩り」の時代のお話ですが、時代背景は重苦しい雰囲気が醸し出され
少女マリーと「お婆さん」のキャラ設定と共に「何が起きるのかな?」と引き込まれました。
そこにジョシコウセイが落ちてくるんですが、推定少女と繋がるのか?と思う展開。
このジョシコウセイの落ちてくる場所が納屋で、(マリアじゃなくて)マリーに「アンチ・キリスト」と呼ばれるあたりは桜庭さんのタクラミか?
まあ、今時のジョシコウセイが出てきたとしても、この雰囲気の中だけで展開させて完結させてくれれば
面白かったに違いないと思います。残念!

 

二部以降のSF的展開は表面的なSF設定になっている感じで、言葉が浮いてしまっている気がした。



ただ、あとがきで桜庭さんが書いている「理系の学者」であるお父さんとの子供の頃の話は
短い話ですが桜庭さんとこの作品を知る上で興味深かったです。
それと表紙のデザインも綺麗で好きです。



そろそろ次の段階の桜庭作品を読む頃になってきた気がします。