吉祥読本

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西瓜糖の日々 --リチャード・ブローティガン

「BOOK」データベースより引用
コミューン的な場所、アイデス“iDeath”と“忘れられた世界”、そして私たちとおんなじ言葉を話すことができる虎たち。西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢見る幸福とは何だろうか…。澄明で静かな西瓜糖世界の人々の平和・愛・暴力・流血を描き、現代社会をあざやかに映して若者たちを熱狂させた詩的幻想小説ブローティガンの代表作。


読みはじめて、ん?と思い、読み進めるにつれ、懐かしさがこみあげてきました。
久しぶりじゃね~か、と旧友に出会った感じとでも言うのでしょうか。

 

詩の積み重ねのような文体で、1ページから数ページ程度の章立てが積み重なって構成されています。
アイデス(iDEATH)という場所は全てが西瓜糖でできている世界。
文字通り「死」を暗喩しているように思えます。
「忘れられた世界」も、西瓜糖世界の人が嫌っていることを考えると「死」に対するメッセージを孕んでいるように思えます。しかし、明確な記述がないので実際はわかりません。(読解力の問題は当然あるのですが・・・)でも、引用文を読んでも意味不明ですよね?(と、無理やり同意を求めたりして)

 

でも各章を読み終えるたびに、章ごとに付けられている題名と、「西瓜糖の日々」という題名を浮かべ何を言っているのだろう?と少しだけ考える読書は気持ちのいいものでした。(結局理解できなくても・・・)


大げさな表現かもしれませんが、振り返ってみて自分の読書に影響を与えた本が何冊かあります。
その中の一冊に高橋源一郎さんの「さようならギャングたち」があります。
そして、「西瓜糖の日々」はまさしく「さようならギャングたち」を思い出させる作品なのです。
高橋源一郎がこの作品に影響を受けていることは間違いない!と思えるくらい同じ感触、匂いがあります。
文体といい、「死」の匂いといい、切なさといい、久しぶりじゃね~か、と思うほど似ている作品なのです。
もしそれが事実だとしたら、自分は間接的にリチャード・ブローティガンに影響を受けていたのでは?
そう思うと何となく「スゲー」と思いました。むしろそうであってほしい。

が、しかし「さようならギャングたち」同様、この作品を理解など出来ていないのも確かです。
正直、「何を表現しているんだろう?」と思うことが多々あります。
「さようならギャングたち」は何度か読み返してるのですが、いまだに完全理解できなかったのと同様に。
でも、なんか感じるんですよね~。
「さようならギャングたち」を読んだ時の感動までは残念ながら得られなかったのですが、懐かしくも儚いような感覚を味わえましたし、翻訳でこの感覚を得られたのは凄い事だなあと思います。
説明が難しい(できない)作品だし、感想も述べにくいのですが、こんな作品、好きなんだなあ~

 

「さようならギャングたち」もそろそろ再読の時期かもしれないなあ。