吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2016年3月の読書リスト

思っていたよりも穏やかな年度末だった。
ただ、花粉が辛い今日この頃。



 2016/3/6読了
 ::完全な真空
 スタニスワフ・レム
 架空の本の書評集。ジョイスの作品などを取り上げながらの書評もあったりするので
 実際に作品が存在しているかもと錯覚してしまいそう。
 冒頭に「完全な真空」の書評があるのは人を喰った話だが、とにかくレムの知識が
 幅広い分野に及び、なおかつ深みを感じられる。
 難解でもあるが妙に納得してしまう言葉の数々に圧倒され、想像力が刺激される
 読書体験だった。



 2016/3/9読了
 ::奥の部屋: ロバート・エイクマン短篇集
 ロバート・エイクマン
 どの作品も派手な怖さは無い。が、正体不明のじわじわと来る何かに不安が
 掻き立てられる怖さ。
 ここで終わるの?とポンと投げ出され、何が起きているのか、これから何が
 起きるのか、そして何が怖いのかさえ分からない不思議さ。
 人が抱える心理の奥底をさりげなく描き出すことで後から気づく微妙な
 怖さなのかな。
 「学友」と「何と冷たい小さな君の手よ」が不穏で印象に残る。



 2016/3/14読了
 /ダレス兄弟: 国務長官とCIA長官の秘密の戦争
 スティーブン・キンザー
 アメリカの国務長官、CIA長官という表裏を担う組織に兄弟で同時期に
 君臨するということができた背景とその当時のアメリカの政策が現在の
 世界情勢にいかに影響を与えたかが淡々と綴られている。
 単純な判断基準で決まるアメリカから見た「ならず者国家」のレッテル貼りに
 辟易する。
 目的のためには手段を選ばず世界を混乱させてきた様に、
 真の「ならず者」とはやはり。。。。



 2016/3/19読了
 /生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学
 ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク
 生命の起源から何度かの大量絶滅を経て進化してきた過程やその要因を丁寧に
 様々な角度から分かり易く書いてくれている。
 専門知識があるに越したことは無いのだろうが、結構楽しめた。
 時間の都合でほぼ一気読みしてしまったが、本来ならばじっくりと時間をかけて
 丁寧に読みたかった。



 2016/3/24読了
 ::バベル九朔
 万城目学
 作家になる前のご自身をモデルに夢と現実と葛藤、焦燥が随所に描かれている。
 読んでいても何が何だか展開がわかりにくく、モヤモヤ感が拭えない。
 最後まで読んでも結局ループするってことなんだろうなと思いつつスッキリしない。
 「奇書」と謳っていることだし、敢えて正解がわからなくてもいいかな。



 2016/3/28読了
 /シフト―2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来
 マシュー・バロウズ
 米国の中・長期的予測を行う機関の国家情報会議(NIC)であらゆる情報に接してきた
 筆者の将来予測だが、かなり現実的で、既に目の前で起きつつある事象を
 提示している。
 相対的に中国やインド、中東の情報が多く、日本に対する記述が少なかった点が
 気になったが、アメリカが日本をあまり重要視していない証左にも思われ、
 「アメリカは日本を守らない」という観点での将来設計は喫緊に取り組むべき
 ものだと痛感。



 2016/3/31読了
 ::サブマリン
 伊坂幸太郎
 相変わらず鬱陶しくて友達になったら面倒くさいだろうなと思う陣内だが、
 やっぱ友達にいてほしいかな。
 適当なことばかり話してるようで「見えないところ」で誰かのために頑張っている
 姿が目に浮かぶ。
 自己顕示欲からでは無く、相手を思って真剣に取り組んでいるからこそ気持ちが
 伝わるんだな。
 チルドレンに続き今回もいい作品を読めて良かった。



7冊読了。