吉祥読本

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まむし三代記

著者:木下昌輝
出版社:朝日新聞出版

 

いやあ、面白い!木下さんの代表作がまた一つ増えましたね。
斎藤道三絡みでこれほど楽しめた作品はないかも。
道三の下克上が一代で為されたものではないとの最新の説を基本としたため
とても新鮮なうえに、ち密に構築された展開に驚かされる。
「国滅ぼし」とは何ぞや?という謎も最後まで引っ張られた挙句、
予測を見事に裏切ってくれた手腕はお見事。
道三がそこまで大きな野望を持っていたとは。
予測できなかった自分を責めるよりもこれは作者を褒めるべきでしょう。
道三、父である法連坊、祖父の松波高丸、そして道三の子、豊太丸(義龍)と
実際は四代が描かれているが、見事にスピード感をもって無駄なく描かれている。

法連坊から義龍までの三代を見守った源太の目線で進む物語は文句なく面白い。
登場人物も魅力的な連中ばかり。
道三と義龍の戦う理由には、「そんな?」と驚かされたが
その他にも細かい仕掛けがあちらこちらで楽しませてくれた力作です。

 

2020/3/8読了