吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2017年12月の読書リスト

あっという間に今年も終わりです。仕事は18時頃には終わりたいな。
ブログを更新してる場合じゃないか(苦笑)



 2017/12/5読了
 /西郷の首
 伊東潤
 まさか加賀藩の人間がメインだとは思えない題名だったが、読み終わると納得。
 明治維新加賀藩士に関する本は読んだことがないが、面白い切り口で新鮮だった。
 足軽二人が時代に翻弄され、別々の道を歩み、最終的に軍人と大久保利通の暗殺犯
 という形で再び交錯する様がほろ苦い。
 二人の人生を決定づけるトリガーとなった西郷の首が、ひとつの時代の流れをも
 決定づけたということか。



 2017/12/11読了
 /SHOE DOG
 フィル・ナイト
 ナイキの創業者フィル・ナイトの自伝。
 オニツカタイガーの製品に感銘をうけ、アメリカでの販売代理店の地位を得ること
 からスタートし、ナイキブランドを立ち上げ、株式を上場できるまで大きくした
 サクセスストーリーといえばそれまでだが、飾らない言葉で語られるさまざまな
 危機や葛藤は自分の身の上に起きたことのように読めた。
 日本とナイキの関係がこんなに深いとは知らなかったが日商岩井との関係が
 とにかく素晴らしい。
 信頼できる仲間達(バットフェイス)とともに成長してきた姿が素直に羨ましい。



 2017/12/18読了
 ::H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って
 ミシェル・ウエルベック
 ラブクラフトを冠したデビュー作品に対する興味はあったが、読めると
 思っていなかった。
 常に金銭的困窮に喘ぎながらもジェントルマンであリ続けたラブクラフトへのウエルベックの偏愛ぶりがひしひしと伝わってくる。
 ラブクラフトの作品に人種的偏見が大いに影響しているとの指摘には成程
 納得できるものがある。
 夢を作品に反映させてきたラブクラフトウェルベック同様、愛を感じさせる
 スティーヴン・キングが寄せている序文「ラヴクラフトの枕」はなかなか面白い
 「作品」。



 2017/12/23読了
 /秀吉の活
 木下昌輝
 「天下一の軽口男」の系統かもしれないが、今までの木下作品としてはかなり軽い。
 「木下」つながりで秀吉を描きたかったのかな? 
 いかに自分を「活かす」努力を重ねている「猿」の姿に絞っていて戦いのシーンや
 出世の契機となった数々のイベントがほぼ削除されている。
 最後の「終活」「朝活」は良かったが、それらを除く後半は秀吉の気持ちが
 ほとんど割愛されていて淡々と流されていた印象。
 「宇喜多の捨て嫁」のような系統を期待していたのでちょっと残念。



 2017/12/29読了
 ::肺都(アイアマンガー三部作3)
 エドワード・ケアリー
 完結編の舞台はロンドン。いや肺都(ランドン)。
 「糞粛」って?と調べてしまったが(笑)翻訳には苦労したんでしょうねえ。
 グッと大人に育っていくクロッドと逞しく闘うルーシーや、アイアマンガー一族の
 行く末は書きませんが、過去作品より大きく広がったケアリーワールドを一体
 どう収束させるんだ?と一抹の不安を持っていたので一安心。
 巻末に映画化の権利の話しとかあったけど、そうなるのであれば
 やっぱりティム・バートンで。



5冊読了。

 

良いお年を。